消費者庁は10月31日、糖質オフを謳う炊飯器販売会社に対し、「措置命令」(再発防止)を出した。命令を受けたのは「フォーティフォー」「ソウイジャパン」「エペイオスジャパン」「HR貿易」の4社。いずれも炊いたご飯の糖質を通常の炊飯器と比べて50%程度カットできると広告表示していたが、景品表示法に基づく「優良誤認」(実際よりも優れていると偽って宣伝などをする行為)にあたると判断された。
ソウイジャパンの広報担当に訊くと「措置命令に関しては厳粛に受け止め消費者に誤解のないよう広告表示をしっかりとエビデンスあるものにしていきたい」と回答した。
いまや多くの飲食料品に記載されている「糖質オフ」「糖質カット」の文字。その流れのなかで近年登場した「糖質カット炊飯器」だが、独立行政法人国民生活センターには糖質カット炊飯器について、「使用しても血糖値が下がらない」などの相談が2017年度以降の約6年間で250件寄せられていたという。
今年3月、同センターがテストしたところ、一部で広告表示された数値に比べて糖質の低減割合が低いことが判明。消費者庁に販売業者を指導するよう要望していた。
宣伝された数値とは乖離があるものの、4社の製品はそれぞれ10?20%程度の「糖質カット炊飯」が認められたという。食品表示アドバイザーの垣田達哉氏が言う。
「今回指摘を受けた販売業者も、数値を盛り過ぎなければ問題にはならなかった。広告表示を変えて販売を続けている企業もあるが、再発防止に努めるべきでしょう」
では、炊飯器で「糖質を低減する」とはどんな仕組みなのか。そして味はどう変化するのか。『家電批評』などで家電ライターとして活動する丸山大次郎氏が語る。
「炊飯の過程で糖質が含まれるデンプンを水分ごと排出させ、糖質をカットするというのが各製品の基本的な仕組みです。ただ、消費者庁が指摘した通り、水分量が多く『おかゆ』に近い炊きあがり。私の感覚では柔らかいというより水っぽく、糖質オフと米の旨味がトレードオフされた印象です」
味そのままに糖質だけカットされるという“うまい話”ではないようだ。
※週刊ポスト2023年12月8日号