国内

《追悼》伊集院静さん逝去、漫画家・黒鉄ヒロシ氏が語るプレゼント選びの「ダンディズム」

伊集院静さんを惜しむ声はあまりに多い(写真/太田真三)

伊集院静さんを惜しむ声はあまりに多い(写真/太田真三)

 作家の伊集院静氏が肝内胆管がんのため73歳で亡くなった。“人を愛し、人に愛された稀代の粋人”ゆえ、惜しむ声はあまりに多い。麻雀を通して親交を深めた漫画家の黒鉄ヒロシ氏(78)が悼む。

「思い出せばいろんな景色が浮かぶけれど、伊集院のプレゼントのセンスは群を抜いていた。値段で選ぶのではなくて、ダンディズムがあった。

 僕の個展に花を出してくれたとき、伊集院が選んだのは『竹』なんですよ。竹を組んだものに花が活けてあって、竹の花を気取っているんだよね。竹は100年に一度しか花が咲かないと言われているから、『それぐらい珍しい個展の開催をおめでとう』という気持ちがこもっているんですよね。

 必ずちょっと期待を超えて裏切る、ちょっとずれるところに彼の色気がある。洋服でも、完璧に整えるのよりも、さりげなく着崩す。彼の歌詞にもあるじゃない、『ギンギラギンにさりげなく』ってね」

 黒鉄氏は、“最後の無頼派”と謳われた伊集院文学の本質をこう説く。

「人はなんのために生きているかというと、人を励ますために生きていると思うんです。出世も好きな人との結婚も、そこに本当の価値はない。伊集院はそれが分かっていて、だからこそそんな不条理な世の中でも、ある角度ではきらっと光ったように見えるわずかなものを文学に紡いでいたのでしょう。

 今日は生きていて嬉しかった、良かったという気持ちになることを相手にはしてあげるけれど、人からは要求しない。自分一人は寂しかろうがどうでもいい──それが遠くから見たら“無頼”に見えたのでしょうが、近くで飲んで話せばとても細やかな男でした」

 遺された作品はこれからも読み継がれていく。

※週刊ポスト2023年12月15日号

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン