台湾の中央研究院欧米研究所は11月下旬、中台関係に関する世論調査結果を発表し、「中国は信頼できる」と考えている台湾市民はわずか9.3%で、82.7%が「中国の軍事的な脅威が迫っている」と回答したことを明らかにした。この結果について、同研究所は「中国の習近平国家主席の両岸(中台)関係に対する硬直的なアプローチが原因だ」と分析している。台湾各紙が報じた。
同研究所は台湾総統府直属で、来年1月13日の台湾総統選挙を前に、中台関係の現状に関する認識などについて今年9月14日から19日の間に電話で調査。台湾市民1211人から有効な回答を得た。
それによると、回答者の62.5%が自分を台湾人だと考えており、2.3%が中国人、32.2%が両方であると考えている。
また、回答者の78.4%が台湾と中国は互いに提携していないと考えており、36.5%が台湾を「中華民国」と呼び、21.1%が「中華民国、台湾」と呼んでいる。また、回答者の91.4%が「台湾海峡の現状維持」を支持している。
習近平国家主席ら中国共産党指導者が「台湾は中国の一部」と主張しているものの、90%以上が「現状維持」を望んでいることから、台湾市民の意識は明白といえる。
この調査のもう一つの注目すべき点は、「米国を信頼できるか」についての認識だ。「信頼できる」と答えたのは34%で、2年前の調査に比べて11ポイントも落ち込んだ。これは、中台間が戦争状態に陥った場合、米国が武力介入して、中国と戦ってくれるかどうかについて、台湾の人々の疑念が高まっていることを示すものといえる。ロシアによるウクライナ侵攻に対して米国がとった対応が影響している可能性がある。