女子ゴルフの日本ツアーは山下美夢有(22)が2年連続の年間女王に輝いた。今季はさらに若い世代の台頭も目立ったが、来季に向けては絶対女王の“先輩たち“も巻き返しに闘志を燃やしている。
最終戦で今季5勝目をあげて女王の座を射止めた山下は、2年連続で平均ストローク60台という驚異の安定感を誇る。山下と同じ2001年度生まれは「新世紀世代」と呼ばれ、一昨年の全米女子オープンを制して米ツアー挑戦を続ける笹生優花(22)や日本ツアー6勝の西郷真央(22)が活躍する。季はその下の世代も躍進した。
「ポイントランキング3位の岩井明愛(21)と同6位の岩井千怜(21)の双子姉妹が2人で5勝とツアーを席巻。さらに1学年下も櫻井心那(19)が4勝、神谷そら(20)が2勝と存在感を見せました」(ゴルフ担当記者)
念願の初シード、その先へ
ただ、来季は絶対女王・山下よりも上の世代の“逆襲“も期待されている。プロゴルファーの沼沢聖一氏が言う。
「山下の安定感は群を抜いており、来季も彼女が女王争いの中心なのは間違いありません。その牙城を崩す候補として推したいのは、『ミレニアム世代(2000年度生まれ)』の安田祐香(22)でしょうか」
高校2年だった2017年にアマチュア日本一に輝いた安田は、2019年にプロテストに一発合格。しかし、その後は首や背中の故障に悩まされた。滝川第二高の同級生だった古江彩佳(23)がプロになってすぐに結果を残し、米ツアーへと飛躍したのとは対照的なキャリアだ。
「その安田が今年はランキング32位で初シードを獲得。線が細かったところにパワーがついてきたので、来季は1年を通じて安定したゴルフが期待されます。早くから大舞台で戦ってきたので精神的な強さがあり、飛距離と小技を兼ね備える楽しみな存在。ミレニアム世代は他にも西村優菜(23)、吉田優利(23)らきら星揃いで、アマ時代のナショナルチームは過去最強と言われた。来季こそ、この世代の女王が出てもおかしくない」(沼沢氏)
1998年度生まれの「黄金世代」も捲土重来を期す。渋野日向子(25)は米ツアーでランキング83位に終わりシード権を逃した。出場試合が限られるなか米ツアーに留まる選択肢もあるものの、3年シードの権利を行使して日本ツアーに戻ってもいい。
「今の渋野のスイングは、フラットになり過ぎる問題を抱えています。年間を通じて青木翔コーチの指導を受けられるようになれば、改善に向かう可能性がある。青木コーチとの二人三脚の期間はスイング改善の兆しが見られたが、その後に米ツアーの転戦に出てしまった。シーズンを通してコーチに修正してもらえる日本ツアーの環境のほうが、いい結果につながるはず」(沼沢氏)