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【官房機密費の闇】田原総一朗氏が語る生々しいメディア対策の現場「封筒でいきなり渡される」、拒むと「取材できなくなるぞ」

野中広務氏(左)からのカネを拒否したジャーナリスト・田原総一朗氏(写真/共同通信社)

野中広務氏(左)からのメディア対策を拒否したのは田原総一朗氏(右。写真/共同通信社)

 にわかに注目を集めている官房機密費(正確には内閣官房報償費)。“機密”というベールに包まれたカネは一体何のために存在し、何に使われてきたのか。これまで幾度となくこの問題を追及してきた本誌・週刊ポストだから書ける真実を、白日の下に晒す。【前後編の前編。後編から読む

 まさに“官邸の裏金”と言える機密費を歴代官房長官で最も多く使ったのは、菅義偉・前首相とされる。

 安倍内閣の官房長官在任中の7年8か月に総額86億8000万円を支出した。小池晃・共産党書記局長は情報公開請求で開示された資料をもとに、菅氏は自民党総裁選に出馬表明する前日の2020年9月1日、空になっていた官房長官室の金庫に機密費9020万円を入れ、首相に就任した9月16日時点の残金は4200万円だったと指摘している。差額の4820万円が総裁選期間中に使われたことになる。

 不思議ではない。官房機密費は、時の政権の権力維持のために使われてきたからだ。

「(総額は)月に5000万から7000万円。(自民党)国対委員長に与野党国会対策として月500万円、首相の部屋に1000万円、参院幹事長室にも定期的に配った。政治評論家へのあいさつなども前任の官房長官からノートで引き継いだ。1人だけ返してきたのが田原総一朗さん」

 13年前、テレビ番組で自ら使った機密費の使途を語ったのは、小渕恵三内閣で官房長官を務めた野中広務・元自民党幹事長だった。

 メディア対策は機密費の重要な使途の一つだ。有力な新聞記者、評論家、ジャーナリストに機密費を渡すことで、政権に有利な世論へと誘導してもらう。

 2006~2007年の第1次政権では、年金問題などでメディアの猛批判を浴びて退陣に追い込まれた安倍晋三・元首相が、政権に返り咲くと新聞・テレビのトップと会食を重ね、大メディアを籠絡していったが、そうした宴席の費用も官房機密費が使われたと見られている。

 機密費はどのように渡されるのか。渡そうとする政治家サイドから何度も接触を受けた経験を持つジャーナリスト・田原総一朗氏がその場面を証言する。

「反物の箱に現金が入っているという話もありますが、そうではありません。普通に封筒に入っていた。いきなり渡されるんです。官房長官や自民党の政調会長から渡されたことがありました。

 最初は田中角栄から機密費を渡されましたが、私は『返す』と拒否しました。当然、喧嘩になる。返すまでに1時間半ぐらいやり取りをしました。『一切取材できなくなるぞ』とも言われました。でも、拒否し、それに応じてくれた」

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