インターネット黎明期、そこでは発信者の年齢性別、職業や学歴などの属性に囚われることなく発言でき、受け止めることができるとされていた。ところが、最近では「#老害」というハッシュタグをつけたSNS投稿が人気を集めるなど、ネット空間での世代間闘争は激しさを増しているように見える。ライターの宮添優氏が、インターネット利用に積極的な高齢者の本音を聞いた。
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今や「スマホ」を持つことは老若男女、当たり前のこととなった。令和5年「情報通信機器の利活用に関する世論調査」(内閣府)によればスマートフォンやタブレットをよく利用している、ときどき利用している人は80.5%。年代別にみると、60~65歳が84.2%、70歳以上でも48.4%と、高齢者でも2人に1人はスマホを手にしている。
スマホは「単なる電話」としてだけではなく、インターネットに接続してウェブサイトから情報を得たり、SNSでコミュニケーションをとったり、動画や音楽を楽しむツールだ。ところが高齢者のスマホユーザーに実態を聞くと、今なお、多くにとってネットは「使い方がわからない」、そして「なんか怖い」存在であり、結局のところ「嫌い」という意見が多勢を占める。メッセンジャー程度は使っている人が多いので、まったくネット利用していないとは言えないが、それも送られてきたメッセージに返信をするばかりだという。
「年寄りは新しいものが苦手だから」
こう笑いつつも、手元のスマホをスムーズに操って見せてくれたのは、都内在住の峰岸正さん(仮名・70代)。峯岸さんのスマホ歴はわずか5年ほど。可愛い孫が出場するサッカーの試合をネットで視聴するために、書店で買った「スマホマニュアル」と睨めっこをしながらスマホデビューを果たした。今では自身で動画を撮り、簡単な編集をして孫にビデオメッセージを送るまでになった。
「昭和の老人」を演じる老人動画
スマホを駆使する70代の峯岸さんだが、ネットを怖い、嫌いという高齢者の気持ちは痛いほどわかるという。
「スマホの操作方法なんかは、いくら高齢者だろうがある程度は使えるようになるし、私のように見たいもの、調べたいものがあれば必要に応じて勝手に学ぶでしょう。ところがその先、実際にネットを使ってみると、あまりに情報が多すぎて目が回る(笑)。また、いろいろなところで”老害”と言う言葉を目撃して、ネット上はとかく老人が毛嫌いされている気がします。やはりネットは若い人のものなのかと」(峯岸さん)