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指定暴力団トップに次々と賠償命令!「組員の特殊詐欺はトップの責任」見て見ぬ振りできなくなった組がとる次の手段

「特定抗争指定暴力団」に指定されたことを示す標章を貼る捜査員ら(イメージ、時事通信フォト)

「特定抗争指定暴力団」に指定されたことを示す標章を貼る捜査員ら(イメージ、時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、広域指定暴力団のトップに特殊詐欺被害者への高額な賠償命令が次々と出ている件について。

 * * *
 12月5日、東京地裁で暴力団対策法に基づき損害賠償を求めた裁判で、特定抗争指定暴力団六代目山口組トップの篠田建市(通称・司忍)組長に対し、請求通り約2660万円の支払いを命じる判決が言い渡された。特殊詐欺事件への傘下組織組員らの関与が明らかになり、民事でトップの責任を認める判決が次々と下されている。暴力団組織にとって彼らを取り巻く状況はぞく厳しさを増している。

 篠田組長を提訴したのは関東地方に住む80代の男女3人。2019年1月、役所の職員を名乗る犯人に現金などを渡してしまい、次々に特殊詐欺の被害にあった。だまし取られた額は総額で2200万円。取った金の受取役を仲介したのが六代目山口組傘下組織の組員だ。そこで被害者3人は、上部団体である六代目山口組のトップを、事件に関与した組員とともに責任があると2021年5月に訴えた。

 民法715条1項に定められた使用者責任は、事業のために他人を使用するものは、被用者がその事業の執行について、第三者に加えた存在を賠償する責任を負うとするものであるとしている。暴力団組長に対して使用者責任を根拠に損害賠償請求を行うことができるという、民事的な対抗措置になる。組員に支払う能力がない場合、その損害賠償責任は組長個人が負わなければならない。

 さらに暴力団対策法(暴対法)では指定暴力団の組員が、その威力を利用して他人の財産を侵害した場合、組織の代表者らが賠償責任を負うと定めている。犯罪の過程で暴力団の威力を利用したと裁判で認められれば、暴対法が適用される。この裁判で裁判長は、威力を利用して特殊詐欺事件を起こしたと認定したのだ。

 2021年10月には特殊詐欺の被害にあった5都府県の高齢女性6人が、暴対法による使用者責任があるとして、司組長や六代目山口組弘道会会長の竹内照明ら4人に対し、損害賠償請求の訴訟を東京地裁に起こした。請求された賠償金額は1350万円。今年1月、東京地裁で和解が成立し、解決金が支払われている。

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