ライフ

【現役医師座談会】医師への“袖の下”は有効なのか 「現金はモメるので必ず断る」「断ると角が立つので…」見解は二分

(写真/PIXTA)

医師への“袖の下”はアリかナシか。現役医師が語る(写真/PIXTA)

 心身が弱った時、そこに救いの手を差し伸べ、健康に導いてくれる医師は、時に神のようにさえ見えるが、謝意を表すのはなかなか難しい。治療費以外に“袖の下”を渡す例もあるが、受け取る立場の医師はどう思っているのか。4人の現役医師が忌憚なく語る。【全4回の第2回。第1回から読む

【座談会参加者】

座談会に参加した医師ら

座談会に参加した医師ら

A男さん(43才)/内科医。総合病院で高血圧をはじめとした生活習慣病の治療に従事。

B子さん(47才)/皮膚科医。大学病院での勤務を経て父の跡を継ぐ形で個人クリニック院長に。

C夫さん(51才)/外科医。大学病院でがん手術にあたる。

D美さん(31才)/産婦人科医。総合病院で妊娠・出産や、婦人科系疾患に携わる。

 * * *
D美:そういえばこの前、出産を控えた患者さんのお母様から「元気に赤ちゃんが生まれるように、先生どうかよろしくお願いします」と現金を渡されそうになってびっくりしました。慌ててその場でお返ししたんですが、先輩医師に聞いたら「もらっちゃってもよかったんじゃない?」と言われて。

 私はまだ医師としての経験が浅いし、いまの病院でしか働いたことがないのでイマイチ正解がわからないのですが、みなさんはいわゆる“袖の下”にどう対応されていますか?

A男:ぼく自身は現金はモメる火種になりかねないから、必ずお断りします。菓子折りくらいなら普通に受け取って、同僚たちといただきますが……。

C夫:私の病院では基本的に金銭の受け取りは禁止されています。確か待合室に「スタッフへの心付けは一切お断りします」という張り紙もしてあったと思います。ただ、世間から雲隠れするために入院するような政治家や有名人が、院長や医局長に「お礼」や「迷惑料」という大義名分で付け届けをすることは珍しくないようです。

A男:ぼくの病院でも個室の確保や面会時間に融通をきかせたときなどに、“チップ”としてお金を渡す患者さんがいるという話はよく聞きます。ただ、それは各科の部長や医長クラスの医師と、もともと特別なつきあいのあるかたにおいてのみのこと。普通の患者さんが急にお金を渡しても、優遇されるどころか受け取るパターンはまずないというのが現実です。

B子:みなさんの話を聞いた後だと打ち明けづらいのですが、私の場合は個人のクリニックですし、あまり強く拒否すると角が立つこともあるので、突き返すことはしないというスタンスです。ただ、私も何かをいただいたからといって特別な対応をすることはありません。

D美:私の場合、優遇するとしたら個人的に面識のある医師からの紹介で来られた患者さんですかね。現状、紹介状なしで総合病院を受診する人はほぼいないから、紹介状自体に価値があるわけではないですが、旧知の先生からの紹介であれば「託された」と感じて身が引き締まります。

A男:確かに紹介者がお世話になった先輩だったりすると「あの先生の面子をつぶさないようにしなければ」と無意識に診察が丁寧になる気がします(笑い)。実際、医師が自分の専門外の病気になったときは、腕利きの医師に診てもらおうとツテを頼ることもありますし、どんなに忙しい名医でも旧知の仲の医師を介して頼まれれば断りづらい。

(第3回へ続く。第1回から読む

※女性セブン2024年1月1日号

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン