ライフ

SNS広告で販売のクリームで重い皮膚障害、ほくろやいぼなどを取れると宣伝、国民生活センターが警告

「点痣膏」という販売名のクリームが事故を起こした(国民生活センターより)

「点痣膏」という販売名のクリームが事故を起こした(国民生活センターより)

 SNSの広告で販売された中国製と見られるクリームで重い皮膚障害を引き起こす事故が発生。国民生活センターが2023年12月13日に警告を発している。

赤く腫れて、化学熱傷を起こした

 2023年6月、国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」に対して、SNS広告を通じて購入された中国製と見られるクリーム「点痣膏」による皮膚障害の事故が報告された。

 具体的には、70代の女性がほくろを取るためにこのクリームを使用して被害にあったケースで、この女性は額の5カ所のほくろに対してクリームを塗布していた。使用説明動画では20秒と示されていたが、20分間ほど塗ったままにしていたところ、額のほくろの部分が赤く腫れ、皮膚の色が変わるという皮膚障害が発生した。

 翌日、医療機関を受診した結果、医師は皮膚壊死を伴う円形の皮膚潰瘍2カ所と、赤くなったかさぶた3カ所を確認。化学品による「化学熱傷」であると判断された。1カ月後に皮膚潰瘍の2カ所は小さくなったが、完全には治癒していなかった。

 このクリームに関しては、他にも消費生活センターに被害報告が寄せられていた。これらの報告では、ほくろやシミに塗布した後、痛みや皮膚がむけるなどのトラブルが発生していた。

強いアルカリで皮膚にダメージ

 国民生活センターでは、トラブルを引き起こした製品を分析し、強いアルカリ性であることを確認した。このクリームには「生石灰」と呼ばれる化学品、つまり酸化カルシウムが多く含まれていると考えられた。

 販売されていたウェブサイトでは、この製品を「濃縮ほくろ・いぼ取りクリーム」として紹介し、効果や用途、使用方法を記載していたが、強アルカリ性であることなど、危険性に関する記述はなかった。この製品は、日本国内のみに向けて販売されていた。

 藤田医科大学名誉教授の松永佳世子氏は国民生活センターの発表文書で、「一度、腐食した部位は、深い潰瘍になり瘢痕(はんこん)が残ります。皮膚移植等の外科手術なども必要になる場合があります。このような皮膚障害を起こすことがないよう、『点痣膏』のような商品を購入して、ほくろ等を取る処置をしないようにしましょう」と注意を呼びかけている。

 国民生活センターでは、この製品を購入していたとしても使用を中止するように求めており、SNS上の広告や通信販売サイトの内容を確認して、不安や不明点があるときには購入や使用を控えるよう呼びかけている。

 ヒフコNEWSでLINEを介した、高額のダイエット茶を購入させる詐欺行為を紹介したことがあるが、SNSを通じた購入は注意をしておく必要がありそうだ。

参考文献

SNS上の広告を見て購入した海外製のクリームで重篤な皮膚障害が発生!-ほくろ等が取れるという「点痣膏」をお持ちの方は使用を中止してください-

痩せるのは財布だけ、LINEのだまし横行、消費者庁が高額ダイエットお茶などの詐欺行為に注意喚起

ネット通販の美白化粧品でシミ悪化、国民生活センターが個人輸入品のリスク指摘

ルッキズムの新たな視点? 米国で注目される美白化粧品の心配

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン