手術をするか、しないか。薬物や放射線を使うと、どんな影響が出るのか。治ったとしても乳房や肛門の形や機能は、元のままを保てるのか──「がん」と診断されてしまったら、治療法から予後、余命までさまざまな思いがかけめぐるだろう。そして誰しもが「いい医者に診てもらいたい」と願うだろう。ジャーナリストの鳥集徹氏と女性セブン取材班が、乳がんと大腸がんに関する“信頼できる専門医”リストを作成した。前編では、不安に寄り添い、一緒に「根治」を目指してくれる、乳がんの医師たちを紹介する。【前後編の前編】
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パンデミックが始まって以来4度目の冬が訪れ、新しい年を迎えようとしているいま、改めてここ数年のメディアの報道を振り返ってみると、とりわけ医療情報においては「新型コロナ」一色だった。
だが、ニュースとして大きく取り上げられないからといってほかの病気がなくなったわけではない。なかでも「がん」にかかる人は高齢化に伴って増え続けており、日本人の死因の1位であり続けている。それだけに、がんと診断された場合に、どの医療機関にかかり、どんな医療を受けるべきか、折に触れて情報収集しておくことは、後悔しない治療を受けるために重要だと言えるだろう。
そこで今回、女性の罹患者が多く、また死亡率も高い「乳がん」と「大腸がん」について、最新の動向をたずねるとともに、取材した専門医からの推薦に基づいて「信頼できる専門医」のリストを作成した。
選定の際に重視してもらったのが、医師としての知識や技術を兼ね備えているのはもちろんのこと、「患者にやさしいかどうか」ということだ。医師の中には腕はピカイチであったとしても患者に厳しい言葉を投げてしまったり、診療方針に合わない患者を突き放したりする人も、残念ながらいるようだ。医師側に悪意はないかもしれないし、患者側にも問題があるのかもしれない。
しかし、患者からしてみれば、がんという診断だけで不安になるうえ、治療内容についても今後の生活がどうなるかもわからないことが多いはずだ。そこに輪をかけて医師からきつい言葉を言われれば不信感が募り、医療から遠ざかってしまう。
そうなると治療もスムーズにいかなくなり、医師にとっても患者にとっても不幸な結果になる。そこで今回の取材では、どうすれば両者がいい関係を築くことができるのかについても、専門医の意見を聞いた。ぜひ、参考にしていただきたい。
【乳がん】「医師の信頼度」は資格と手術数と雑談に表れる
女性のがんの罹患者数1位である乳がん。その数は9万4300人と推計されており、これは女性の中で、すべてのがん(2022年の罹患者数43万4900人)の2割以上(21.7%)にもなる(国立がん研究センター「がん情報サービス」がん統計予測)。
死者数の順位こそ罹患数よりも低い4位だが、気になるデータがある。厚生労働省の「人口動態統計」によると、2022年の乳がん死亡数は1万6021人で、前年の1万4908人に比べ7.5%増と、例年に比べ増え幅が大きいのだ。
コロナ禍での受診控えにより、進行した状態で見つかる人が増えた影響などが指摘されているが、本当の原因は明らかになっていない。ただいずれにせよ、今後、女性はより乳がんに注意し、治療や病院選びについてしっかりと知識をつけておくことが必要であることは間違いない。