手術をするか、しないか。薬物や放射線を使うと、どんな影響が出るのか。治ったとしても乳房や肛門の形や機能は、元のままを保てるのか──「がん」と診断されてしまったら、治療法から予後、余命までさまざまな思いがかけめぐるだろう。そして誰しもが「いい医者に診てもらいたい」と願うだろう。ジャーナリストの鳥集徹氏と女性セブン取材班が、乳がんと大腸がんに関する“信頼できる専門医”リストを作成。後編では、大腸がんの医師たちを紹介する。【前後編の後編。前編を読む】
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先述した通り、女性のがん罹患数は乳がんが1位だが、死亡数の1位となっているのが大腸がんだ。2022年の大腸がん(結腸がんと直腸がんの合計)の女性の死亡数は、約2万5500人と推計されている(国立がん研究センター「がん情報サービス」がん統計予測)。
そもそもなぜ、女性は大腸がんによる死が多いのか。長らく「女性は便秘になりやすく、便秘の人は大腸がんになりやすい」ともいわれてきたが、はっきりした関連性は明らかになっていない。北里大学北里研究所病院院長の渡邊昌彦医師はこう話す。
「便秘がちだからといって、必ずしも大腸がんのリスクが高いわけではない。ですから、必要以上に恐れることはありません。ただし、大腸がんに関心を持つことはリスクを減らす第一歩だと思います。
大腸がんの早期発見には、定期的ながん検診(便潜血検査)が有効ですが、便を採って提出しなくてはいけません。また、陽性だった場合には、内視鏡による精密検査が必要となり、下剤をのんでお尻を見せる必要があります。そういったことが、女性にとっては高いハードルになって、発見を遅らせる要因になっているのかもしれません。実際、便に血が混じっていても『痔』を言い訳にして、精密検査を受けない人もいます。
ですが、大腸がんは早期発見すれば、治る確率が上がります。私たち専門医からすると、早期に治療を受けないのは、『もったいない』というのが正直な気持ちです」
大腸がんは、早期がんであれば、手術ではなく大腸内視鏡を使って「内視鏡的粘膜切除(EMR)」や「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」などで治療することも可能だ。特に、家族に大腸がんが多い人はリスクが高いので、当てはまる人は便潜血検査や内視鏡検査を定期的に受けた方がいいだろう。