臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、2023年12月31日放送の第74回NHK紅白歌合戦について。
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今年も紅白歌合戦が話題に上る時期がきた。ここ数年、視聴率を上げようと若者向けの人選が多くなり、シニアにとっては縁遠くなりつつある。かといって、若者層の視聴率が上がってきたかといえば、どうもそうではないようだ。
今年の司会は大泉洋さん(50才)に代わりタレントの有吉弘行さん(49才)だ。盛り上げようと元気なのはいいが、やや騒々しかった感がある司会がこれで変わると思っていたら、なぜか出場歌手に大泉さんの名前が!さすがに少々無理がある人選ではないだろうか。
女性の司会は今年も女優の橋本環奈さん(24才)。やれるのか、大丈夫なのかと、その司会ぶりが危ぶまれた昨年だったが、予想を裏切る活躍を見せた。今年は女優の浜辺美波さん(23才)も司会に選ばれた。NHKの朝ドラ『らんまん』で主人公の妻を演じて話題になった彼女は、司会については未知数だ。
紅白で重要なのは、言うまでもなく出場歌手と彼らが歌う曲目。先日、友人たちが集まったので、今年の出場歌手についてどう思うか聞いてみた。シニア世代は「ぜんぜんわからない」「知らないグループばかりでつまらない」と反応はつれない。挙句「今年も見ない」と口を揃える。そればかりか若者世代の友人らも「そもそも紅白は見ない」「録画して好きな歌手だけ見る」と関心は低い。
NHKには悪いが、著者の周りでは今年も前評判は芳しくない。出場歌手一覧を前に「これは人の名前、それともグループ?」「時の流れに身をまかせはテレサ・テンだよね」とシニアたち。白組では初登場する英語の名前に「日本人グループ、それとも韓国人グループ?」「これは今年流行った曲?」と問われるが、聞かれたこちらもすんなり答えられない。数年、歌番組は少なくなり、自然と流行の歌を耳にする機会が減った。YouTubeなどを好んで見なければ、ネットで話題の歌手や再生回数の多い曲を知るのは難しい。流行りに敏感な若者たちも「韓国人グループがこう多くてもね」と冷ややかだ。