国内

【健診・検査】「信頼できる医師のもと、必要な検査だけを受ける」ために選ぶべきは“総合病院に付随する施設”

(写真/PIXTA)

診断には医師としての技術力が試される(写真/PIXTA)

 会社や自治体で毎年当たり前のように行われている健康診断。しかし、いくら適切な内容を受けていたとしても、医師の技術力の低さによって病気の発見が遅れることもある。実際、CT検査などにおいて「画像診断の見落とし」はしばしばニュースになっているが、がんのように重篤な病気の場合は、発見が遅れると死につながる。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんによれば、「画像診断の腕は医師によってばらつきがある」と言う。

「院内で勉強会が頻繁に開催されて熱心に勉強している医師がいる一方で、勉強会すらない病院もあります。技術力におのずと差が表れるのは、仕方のないことです」(室井さん・以下同)

 一見、どの医師がやっても変わらないように思われる聴診にも、腕の差が表れる。

「ただ心臓の音を聴いているだけではなく、医師としてのスキルが試されます。肺の音や血管の異常音などさまざまな音を聞き分けることが求められ、聴診だけで心臓音の異変に気づいて病気が見つかるケースもあります」

“基準値のウソ”を見抜けるかどうかも医師の腕次第だと、医療に詳しいジャーナリストの村上和巳さんは言う。

「健診時の血圧やコレステロール値など“検査値の基準は超えているが臨床的には正常”という状態は、臨床経験が豊富な医師でないとなかなかわからない。健診のみ行っている医師は単純に数値だけで判断して、異常と診断する傾向にあります」

 では、信頼できる医師のもと、必要な検査だけを受けるためにはどうやって施設を選ぶべきなのか。

「総合病院に付随している施設は、日頃から臨床を経験している医師が多いため、信頼度は高いといえます。一方、人間ドックを専門にしている施設の医師は臨床経験が少ない可能性があり、アルバイトで技術力も低いケースも少なくありません」(村上さん)

 人間ドックに力を入れる施設が多いのは、医療者側にとって健康診断や検査は「コスパがいい」という側面があるからだ。ナビタスクリニック川崎院長で内科医の谷本哲也さんが言う。

「病院や施設側にとってみれば、治療と違って異常の有無を判別するだけなので、特殊な技術は不要なうえ収益源にもなるというメリットがある。ただし見逃せば責任を問われるので、小さな異常でも問題視する傾向にあり、過剰治療や過剰検査につながりやすいのです」(谷本さん)

 だからこそ「受ければ安心」なのではない。本当に自分にとって必要なのか、結果を信じていいのか、異常が見つかったら治療を受けるべきなのか──誘導に流されず、しっかりと見極めたい。

※女性セブン2024年1月4・11日号

過信してはいけない健診・検査

過信してはいけない健診・検査

過信してはいけない健診・検査

過信してはいけない健診・検査

「医師の腕次第」な検診・検査

「医師の腕次第」な検診・検査

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン