カナダの公共政策シンクタンク、フレーザー研究所と米シンクタンクのケイトー研究所が12月19日に合同で発表した人間の自由に関する報告書「2023年世界自由度ランキング」によると、香港の国際的な自由度指数が急激に悪化しており、2010年には世界3位だったものが、今年は46位に大幅下落していることが明らかになった。昨年の29位に比べても、17もランクを落としている。
この指数は2000年から公表されているもので、法の支配や治安と安全、移動、宗教、結社・集会、言論、法制度と財産権、貿易の自由度などの項目で各国を評価している。
世界165カ国・地域のなかで、1位はスイス、2位以下はニュージーランド、デンマーク、アイルランドと続き、日本は16位、中国は149位にランクされている。
報告書は香港について「ジャーナリストや自由擁護派の投獄が拡大するにつれ、香港での弾圧は激しさを増し続けており、海外の反対意見を鎮圧するために亡命活動家に逮捕状が発行されている」と批判している。
そのうえで、「香港では近年、中国による制限が強まっており、法の支配や人権問題、報道や集会の自由などの分野で著しい低下がみられているためだ」と説明した。
香港の自由度が悪化したのは、2020年6月に中国が香港国家安全維持法を採択してからだ。
香港政府報道官は報告書について「香港の国家安全、人権、法の支配の保護に関する事実と矛盾しており、強く反対する。2019年の民主化デモや騒乱の後、国家安全法が住民の日常生活、経済活動、ビジネス環境を正常化させたことを報告書が無視している」と指摘、「中国政府が香港の自治に干渉に関しているとの報告書の主張はまったく根拠がない」と反発している。
香港の自由度急落に関して、香港の独立系インターネットメディア「香港フリープレス」は、香港政府が最近、公務員17万人に対して極秘の内部研修に強制的に参加させ、2019年の学生や市民による大規模な民主化デモや抗議行動が違法とする記録映画を視聴させたと報じた。1人1人に対して、デモについて批判的な意見を述べるよう強要したという。個人の内心にまで踏み込むような当局の姿勢が続くならば、自由度の下落は今後も止まらなさそうだ。