『80歳の壁』など数々のベストセラーを生み出す和田秀樹医師が、「58歳から元気になる方法」をテーマに、現役世代の悩みに答える。年齢に関わらず、若々しい見た目を維持することは心身ともに健康でいるための一つの手段かもしれない。今より元気になるために、和田医師が「若さを保つ」医療のかたちを提唱する。
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中年以降の男性に多い「薄毛」の悩み。髪の毛が一気に薄くなってきたと感じるような場合、ストレスなどいろいろな原因が考えられますが、割と多いと考えられるのが、栄養不足による薄毛です。
体内で毛髪の原料となるタンパク質の摂取量が足りないと、栄養が行き渡らず、髪が痩せたり、弱くなって抜けやすくなります。その場合、肉や魚などのタンパク質が豊富な食材を意識的に増やしたり、サプリなどで摂取することで改善することがあります。
薄毛は「悪玉の男性ホルモン」のせい?
男性の場合、もう一つ考えなければいけないのが、男性ホルモンのバランスです。
テストステロンという男性ホルモンは、子孫を残すための生殖機能のほか、筋肉や骨の形成、内臓脂肪を溜め込まない脂質代謝などに関わります。脳にも直接働きかけて活発にしたり、判断力や記憶力などの認知機能を高めて頭の働きをよくし、やる気を出す作用もあります。
男性は40代半ば以降にテストステロンが減少することで、意欲の低下や性欲の減退、筋力の低下など、様々な精神症状や身体症状が出ることが知られています。
そして、テストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合することで生成されてできるのがジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる“悪玉”の男性ホルモンです。DHTが増えると、髪が抜けたり、前立腺が肥大したりします。
反対に、テストステロンがDHTに変化するのが抑制されれば、薄毛を未然に防ぐことができると考えられます。20年くらい前から薄毛治療に使われ出したのが、テストステロンと結合してDHTを増やす5αリダクターゼの働きを阻害するフィナステリド(商品名プロペシア)などの薬です。男性の薄毛は「AGA」という病気の可能性があり、それは薬で治療できると訴えるテレビCMなどを観たことのある人は多いでしょう。