岸田政権が末期的な低支持率に沈むなか、2024年の日本の政治はどこに向かうのか。2005年の衆議院総選挙で最年少当選を果たし、現在は政治評論家として活動する杉村太蔵氏はこう予測する。
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順風満帆な船出だったはずの岸田政権は2023年、崖っぷちまで追い込まれました。「増税メガネ」などと揶揄され、ばら撒きをしているとか少子化対策も的外れだとか、やることなすこと批判され、派閥のパーティー収入の裏金化問題が追い打ちになって内閣支持率はどん底です。
でもぼくは、岸田さんの政策自体は正しいと思う。超高齢化社会で医療介護費が増大するなか、少子化対策は待ったなし。加えて、隣国のロシアがウクライナ侵攻の暴挙に出た。北朝鮮の核・ミサイル開発などを考慮すると防衛費の増額は避けて通れません。まともな政治家だったら、誰でも同じことを考えるでしょう。
小泉(純一郎)さんの郵政民営化や安倍(晋三)さんのアベノミクスといったシンボリックな改革ではなく、岸田さんは少しでも国民負担を小さくするためにさまざまな政策を微調整しているイメージなのでわかりづらいのは事実です。ただ、間違っていないと思う。
このままでは岸田政権はもたないとの声もあがり、2024年秋には自民党総裁選がありますが、ぼくは土俵際に強い岸田さんがギリギリ再選され、政権継続の可能性が高いと思っています。一方で、「ポスト岸田」として女性総理誕生への期待が高まっていることも確かです。いま名前が挙がっているのは上川陽子さん、小渕優子さん、高市早苗さんでしょうか。
上川さんは東大卒でハーバード大学留学後、コンサルティング会社を経て立候補した。最初は無所属の泡沫候補だったのに、2回目の選挙では自民党の公認候補を破って当選し、外相まで上り詰めた。こういう人はなかなかいませんよ。高市さんはアベノミクスの継承者で中国の台頭に対して強い危機感を持ち政策に取り組んでいる。小渕さんは献金問題の説明責任がありますが、自民党の重鎮たちや議員さんにもすごく評判がいい。
そうしたいろいろな可能性を含みながら、2024年の政治のキーマンは菅義偉元首相です。表の顔は岸田さんだけど、裏では菅さんが大きな存在感を示していく年になるんじゃないでしょうか。菅さんが本気で女性総理を誕生させようとしたら、いったい誰になるのか。そういう視点に立つと、2024年の政治がもっと面白く見られるかもしれませんね。
【プロフィール】
杉村太蔵/政治評論家。派遣社員から外資系証券会社勤務を経て、2005年9月の衆議院総選挙で最年少当選を果たす。2009年に次期選挙不出馬を表明し、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアで活動するほか、政治・経済をテーマとした講演活動を全国で行う。
※女性セブン2024年1月4・11日号