鈴木優花(時事通信フォト)

鈴木優花(時事通信フォト)

“有森の再来”はあるか

谷川:女子はMGC1位の鈴木優花選手(24)と、2位の一山麻緒選手(26)が内定しました。一山選手は東京五輪も代表でしたが、鈴木選手はMGCがマラソン3戦目。大東文化大の頃は線が細かったのに、第一生命の山下佐知子監督のもとで練習を重ねて、太腿もたくましくなった。

金:女子は指導者によって大きく変わる。鈴木選手も、五輪までは山下監督がほぼマンツーマンで米国合宿を張ります。本人は天真爛漫な性格だし、これまでにないハードな練習を大胆にやってもいい。体の強さがあるから、大化けする可能性がありますよ。高橋Qちゃん(尚子)たちの頃は、練習の量と質が凄かったから。

谷川:女子の3枠目ですが、設定記録は2時間21分41秒です。

金:こちらはわりと突破できそうな水準です。

谷川:対象レースは大阪国際女子マラソン(1月28日)と名古屋ウィメンズマラソン(3月10日)。松田瑞生選手(28)や安藤友香選手(29)が有力で、MGC3位の細田あい選手(28)、加世田梨花選手(24)も注目です。

金:あと、五輪は目指さないと言ってMGCに出なかったけど、新谷仁美選手(35)も期待したい。

谷川:そうね。名古屋には出るかもしれない。

金:一度選手をやめてOLもやったけど、戻ってきて日本歴代2位の2時間19分台を叩き出した。彼女が出てきたら他の選手はビビるでしょう。

谷川:3枠目に食い込んだら面白いですね。マラソン界の今後のためにも盛り上げてほしい。

金:かつての女子の黄金時代って、有森(裕子)さんの存在が大きかったんですよ。トラックでも駅伝でも活躍しなかった選手が2大会連続でメダルを獲って、“だったら私も”と周りが奮起した。今回で言えば、女子の鈴木選手とかが活躍すると、突破口になり得る。いきなりマラソン王国復活は難しくても、今後につながる五輪にしてほしい。

【プロフィール】
谷川真理(たにがわ・まり)/1962年生まれ、福岡県出身。1991年に東京国際女子マラソン、1994年にはパリ国際マラソンで優勝。現在、ゲストランナー、講演会、ランニング教室、テレビ出演など幅広く活動中。

金哲彦(きん・てつひこ)/1964年生まれ、福岡県出身。早稲田大学在学中は、箱根駅伝で4年連続5区を走り、区間賞を2度獲得している。現在は陸上解説者として活躍中。

※週刊ポスト2024年1月12・19日号

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