国内

【現地ルポ・能登半島地震】「壊滅」珠洲市 役所のホワイトボードには「下敷きになった人の名前」がズラリ 「アナログ」批判されるも救助の一助に

珠洲市の役所に置かれたホワイトボード。被害状況が殴り書きで書かれている

珠洲市の役所に置かれたホワイトボード。被害状況が殴り書きで書かれている

 石川県能登地方で1月1日に生じた大地震。最大震度7を観測し、現地では今も余震が続いている。石川県によると県内で84人の死亡を確認したという(4日午後3時時点)。被害が大きかった輪島市では48人、珠洲市で23人の死亡者が確認されている。

「壊滅的な被害だ。(普通に)建っている家がほとんどない。9割方、全壊もしくは、ほぼ全壊という状態だ。珠洲市は約6千世帯なので、4千、5千世帯の方が自分の家に住めない深刻な事態になっている」──珠洲市の泉谷満寿裕市長は2日、県災害対策本部会議で被害の深刻さを強調した。

 さらに翌3日の会議では「消防に入っている救助の要請や通報に対し、72件対応できていない」と報告しており、生存率が下がるとされる「72時間の壁」を迎えた今も、救出されていない市民が多くいるようだ。

 NEWSポストセブン取材班が3日に珠洲市に入ると、車道には至るところに亀裂が入り、海岸沿いは液状化している箇所も見受けられた。また、津波の影響なのか、港には船が打ち上げられていた。

 珠洲市の飯田港近くに住む70代男性は、自宅が地震による地盤沈下で大きく歪んだ上、津波による被害を受けたと話す。

「津波と言っても東日本大震災のときと違って40cmくらいの高さでしたけど、うちには膝上くらいの高さまで水が来ました。このあたりは古い木造住宅が多いから、それでやられた家も多いですよ。

 地震があった1日の16時頃は、正月だから1階の居間でテレビを見ながらくつろいどるとこやった。最初に震度5くらいの揺れが来て、2階の様子を見に行って、なんにも倒れんかったなと思っていたら、その1〜2分後にもっとすごい揺れが来た。

 テレビやら食器棚やらが倒れんように手を伸ばして押さえたんやけど、バーンと地面から弾かれるみたいに揺れて、逆に私が倒れてしまった。1階は、家具という家具が全部倒れた。その後に、(近くを流れる)若山川から津波が登ってきてうちにも流れ込んできたんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト