警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、六代目山口組に導入された「総裁制度」の狙いについて。
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六代目山口組の最新名簿が出たというので、山口組に詳しい暴力団関係者のA氏に早速見せてもらった。表紙をめくると、組の方針である「和親合一」が大きく掲げられている。「和をもって組織を固め、一丸となって進んでいく」という意味が込められているといわれるこの方針が行動指針となってすでに8年。8年前に山口組は分裂した。
「この指針は組員を一つにまとめて事に当たっていくためのもので、”事”とは山口組の分裂だ。これが収まるまで指針は変わらないというのが、六代目山口組の中の共通認識のようだ」と話すのはA氏だ。「組としては分裂騒動が終わらない限り、変えられないのだろう」。
「分裂騒動の影響はこんなところにも出ているのではないか」と、A氏は名簿のある部分を指さした。載っていたのは、ある組とその組の総裁の名前。だがその欄にあるのは総裁の名前だけ。六代目山口組の名簿には、組の名前の横に組長・若頭・本部長や組長・副組長・事務局長、総長・若頭・本部長、会長・会長代行・理事長など組によって役職名は異なるが、三役とその名前が書かれているのが普通だ。ところが、いくつかの組だけは総裁以外、名前が載っていない。
しかし別のページをめくると、そこには件の組と同名の組の名前があり、組長として別の人物の名前が載っている。新しく総裁が掲載された2つの組でも、別のページには昨年12月13日に静岡県浜松市の国領屋一家で行われた事始めで、司忍組長と盃を交わした直参組長と三役の名前がしっかりと載っていた。その中で総裁として一人、名前が掲載されていたのは後継に跡目を譲った前組長らだ。