いよいよ後半戦に突入したNHKの朝ドラ『ブギウギ』。ヒロイン・スズ子(趣里、33)と最強のライバルだったりつ子(菊地凛子、43)がともに戦争の悲しみから歌で再起していく──。その中で、スズ子にとって新たな“強敵”として立ちはだかるのが、小雪(47)演じるトミだ。村山興業の社長で、スズ子の最愛の人である愛助(水上恒司、24)の母親である。
跡継ぎの一人息子が歌手と交際することに反対し、スズ子と愛助を呼び出したところで初めてスズ子と対面したトミ。演芸業界最大手の村山興業を率いる“関西の女傑”だけあって、昭和の日本髪と着物の凛とした佇まいが貫禄たっぷりだ。
迫力のあるトミの存在感には、視聴者から「小雪さん、圧が強すぎる」といった声が溢れている。
『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』の著者で朝ドラウォッチャーの田幸和歌子氏が語る。
「これまでも朝ドラではヒロインの恋人や夫のお母さん、いわゆる“姑キャラ”が登場して盛り上げてきましたが、小雪さん演じるトミは従来の姑キャラとは少し違います。母親でもあり経営者でもあるという2つの立場で、ただ息子を溺愛するがゆえの怖くて意地悪な姑キャラではない。
経営者として後継者を育てて会社を守らなければならないという思いもあるからこそ、スズ子と愛助の交際に反対するトミにも道理がある。スラっと背が高く背筋がまっすぐ伸びた小雪さんの着物姿は艶やかで、“威厳”が放たれています」
「この役をやりたいです」
朝ドラ初出演となった小雪だが、『ブギウギ』制作統括を務める福岡利武氏はオファーの経緯についてこう明かす。
「トミは興行の世界でトップに立つビジネスウーマンですが、彼女の“母性”はしっかり描きたいと考えていました。ちょうど『ブギウギ』の脚本を作っている時に『桜色の風が咲く』(2022年11月公開)という映画で小雪さんが演じた母親役のお芝居が素晴らしかった。
そこでぜひトミを演じてほしいと思ったのですが、他のスタッフからはもっと年齢が上の役者さんのほうがいいんじゃないかという意見もありました。それでも僕の中では小雪さんの母親役のお芝居とトミのキャラクターにすごくリンクする部分があり、オファーをさせていただいたのです」