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「夜が来ないでほしい」能登半島地震で妻子を失った42歳警察官の嗚咽「一緒に巻き込まれていたら辛い思いをせずにすんだ」家族を飲み込んだ崖崩れ

大間圭介さんとその家族。長男・泰介くんの9歳の誕生日に撮影された

大間圭介さんとその家族。長男・泰介くんの9歳の誕生日に撮影された

 1月14日、石川県金沢市で行われた葬儀の祭壇には4人の遺影が並んでいた。喪主を務めるのは、石川県警の警察官である大間圭介さん(42)。帰省先の石川県珠洲市で土砂崩れの被害にあい、妻のはる香さん(38、旧姓・中谷)と長女の優香ちゃん(11)、長男の泰介くん(9)、次男の湊介くん(3)を失った。ただ一人生き残った彼はその日、「私の宝物がたくさん奪われてしまった」と声を震わせた。

 NEWSポストセブン取材班は1月8日、大間さんが当日家族と過ごしていた珠洲市仁江町の倒壊した家の前で、大間さんに取材をしていた。そのとき、まさに眼前では、大間さんの妻子と共に崖崩れに巻き込まれた親族の救出活動が行われている最中だった。大間さんは、運命を分けた“その日”について、何度も涙に声を詰まらせながら、このように語っていた──【前後編の前編。後編を読む】

* * *
 1月1日、大間さんは、はる香さんの祖父母の家に帰省していた。中谷(はる香さんの旧姓)家には、はる香さんの祖父母、両親、兄弟の家族を含め、合計12人の親族が集まり、にぎやかに団欒していた。例年通り、のんびり年末年始を過ごすはずだった。しかし16時過ぎ、平和な家族の時間を地震が襲う。大間さんは、「大丈夫、大丈夫やぞ」と怖がる子どもたちをなだめて、外の様子を確認するために家を出た。その選択が、妻子と彼の運命を分けた。

「僕だけが外に出たところに『ドーン』と本震が来た。屋根瓦がガタガタ落ちてきて、立っていられませんでした。そして鈍い地響きのような音が聞こえて、家の後ろの山の土砂がグアーッと崩れ始めました。ここにいるのは危ないと思い、家から離れるように大きな道に向かって走りました。崖が崩れてくる光景だけは覚えているんですけど、その日のことはほとんど覚えていなくて……すみません……(涙に声を詰まらせる)」

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