新年早々、悲しい知らせが続いた。「演歌の女王」と「日本芸能史の象徴」、2人のスターの訃報。一見まったく縁はないようだが、それぞれの人生を振り返ると、2人をつなぐ「昭和歌謡界の大スター」の姿が見えてきた。
1月9日、歌手の八代亜紀さんが昨年12月30日に急速進行性間質性肺炎のため亡くなっていたことがわかった。15才で親の反対を押し切り、故郷・熊本を離れて上京。銀座のクラブ歌手などを経て、1971年にレコードデビュー。2年目のシングル『なみだ恋』を皮切りにヒット曲を連発し、「演歌の女王」の名をほしいままにした。
そんな八代さんが“子供の頃からの憧れ”と語っていたのが、美空ひばりさんだ。番組での共演をきっかけに、レコード会社の垣根を越えてかわいがられるように。ひばりさんに呼ばれ、朝まで一緒にカラオケをしたこともあったという。代表曲の『舟唄』は本来、作詞家の阿久悠氏がひばりさんを想定して書いた作品だったが、巡り巡って八代さんの曲になったという不思議な縁もある。
ひばりさんが亡くなって以降は、「歌謡界全体でひばりさんの抜けた穴を埋めていかないと」と語っていた八代さん。その言葉どおり、最期まで歌謡界を背負って立ち、歌手人生を走り抜けていった。
●2023年2月 活動休止前の一枚
昨年8月にはバースデーライブを行うなど元気な姿を見せていた。9月に活動休止を発表してからも「早く治って皆さんへ歌を届けたい」と話していたという。
●1973年7月 大ヒット歌手として番組出演
『なみだ恋』が120万枚のミリオンセラーになると、数々の音楽番組に出演。クールな歌唱とチャーミングな雰囲気でたちまち人気者に。
●1994年1月 マネジャーと結婚
43才のときに元歌手のマネジャーと結婚。ハワイ・オアフ島のセントラル・ユニオン教会で結婚式を挙げた。
●1985年11月 画家としても活躍を始める
画家志望だった父親の影響もあり画家としても活躍。1998年からは、フランス画壇の登竜門「ル・サロン」展へ5年連続入賞を果たした。
●1997年7月 ジャズライブを開催
演歌歌手という肩書きに縛られず、ジャンルレスに活躍。代表曲『雨の慕情』などをジャズアレンジして歌ったことも。
●2009年5月 ゴルフ大会「叙々苑カップ」に出場
1974年に初ラウンドを果たした長いゴルフ歴を持つ。芸能人大会にも出場し、茶目っ気あふれる表情を見せた。
●2008年12月 「輝く!日本レコード大賞」第50回に出演
メモリアルアクトとして「レコ大」の50回記念大会に出演。第22回大会で大賞を受賞した『雨の慕情』を歌唱した。