中国では、倒産や生産打ち切りが相次ぎ、工場労働者を中心に数百万人規模のレイオフや給料未払いに発展し、2023年下半期に約400カ所の工場などでストライキが発生したことが分かった。
香港を拠点に中国の労働問題を扱う「労工通信(CLB)」によると、中国のハイテク企業が集中する広東省深センでは100社以上の企業が廃業に追い込まれ、11月から帰省する工場労働者が切符を買うために駅で長い行列を作っていたという。これほど早く労働者が春節(旧正月=今年は2月10日)のために帰省するのは例がない。
これは、ハイテク企業を支援するための政府の補助金が打ち切られたためで、政府の「国有企業重視=民間企業切り捨て」の図式がはっきりと表れている。
このあおりを受けて、中国の代表的なテクノロジー企業で、動画共有サービスTikTokを運営する「バイトダンス」は企業経営が悪化し、社員全体の1割程度となる約1万人の人員整理を実施している。
また、鉄鋼の年間生産量1000万トン以上を誇っていた河南亜新鋼鉄は50カ月以上減産を続けてきたが、2023年11月1日から生産は全面停止し、従業員約7000人が失業した。
中国の基幹産業である自動車製造も振るわず、日本のトヨタ自動車も2023年7月、広州汽車との現地合弁会社で従業員約1000人を削減するなど、自動車販売は電気自動車(EV)を除いて各社とも減少の一途をたどっている。
中国政府は1月11、12の両日、北京で1年間の具体的な経済政策を決める中央経済工作会議を開催したが、これらの事実を公表していない。
しかし、習近平主席は2023年12月31日のテレビ演説で、景気低迷について、「一部の企業は苦境に立たされ、また就職が厳しく日々の暮らしに困る人々もいた」などと述べ、労働争議の多発や若者の就職難について認め、中国が「逆風」に直面していることを明かした。そのうえで、習氏は「来年(2024年)は経済回復の勢いを強固にしていく」とした。
習氏が国内経済の低迷を認めるのは異例ともいえる。3期目に入り政治的基盤は強固になった習氏だが、経済運営に神経を尖らせることとなりそうだ。