芸能

坂田利夫さん、キラー・カーンさん、篠山紀信さん、八代亜紀さん… 時代をつくった大物たちの愛すべきエピソードを高田文夫氏が述懐

八代亜紀さんなど、時代をつくった大物たちの愛すべきエピソード(イラスト/佐野文二郎)

八代亜紀さんなど、時代をつくった大物たちの愛すべきエピソード(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、時代を作った大物たちの愛すべきエピソードについて綴る。

 * * *
 次々と大きなニュースに巻き込まれる2024年の日本。大きな災害に目を奪われている間に実はたいへんな人々が次々と亡くなっている。このペースで行ったら12月には日本から有名人がいなくなっちゃうのではと心配。

 暮れには“アホの坂田”こと元“コメディNo.1”の坂田利夫が。芝居でアホを演じ見せる名人は藤山寛美だったが、根っからのアホと関西中で思われていた愛すべき人物。間寛平がずっと世話を焼いていたというのが泣ける。

 大みそかの紙面には「モンゴリアンチョップ、日米でトップ悪役レスラー」とあるキラー・カーンこと小沢正志が急死。若き日、ヒールとして北米を転々、「寂しい」と談志に連絡。談志にきいた話では「すべての仕事ほっぽり出して小沢のところへ行ったよ」。悪役で大暴れしてビール瓶など投げられながら次の巡業先へ。まさにアメリカ映画のよう。談志と小沢は車を飛ばし次の巡業先へ。罵詈雑言を受けながらふたりの車は走る。車中には三橋美智也が流れていたという。私の好きな話だ。談志は小沢のことが大好きだった。

 年が明けたら“女と時代を撮った写真家”と言われる巨人・篠山紀信の訃報。日芸の私の先輩で気さくによく喋ってくれた。「高田クン、あ~たがどれだけ落語がうまいかしれないが、私の方が修業してるんだから。中学生の時、行儀見習いで名人、あの黒門町(桂文楽)の家に預けられたんだから。文楽の家で拭き掃除してる中学生なんている?」といつも自慢気に喋った。新宿のお寺の子であった。冗談の大好きな人だった。

 そして中村メイコの訃報、2歳で映画デビュー。“ひとり芸能史”のような凄い人だった。エノケン、ロッパ、森繁、三木のり平、三波伸介。すべての喜劇人と共演した。

 たて続けにショック、“演歌の女王”八代亜紀が急死。73歳と私よりも若いのだ。遠い昔、歌番組が全盛の時代、私も打ち合わせと称して何回も話をしたが、気さくで誰にでも優しい人だった。“トラック野郎”たちに愛されている姿がほほえましかった。『雨の慕情』の歌声にしびれた。みごとな絵も描き表現者としては超一流だった。

 冠二郎も亡くなった。5歳年齢をサバ読んでいたというエピソードが人間くさくていい。

 そして、なんと小さく記事。我が日大の大問題の当事者、日大、田中元理事長が77歳で他界。私の1年上が横綱輪島、その1年上が田中元理事長という勘定になる。さぁこれで何処へ行く日大!?

※週刊ポスト2024年2月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン