仕事だったりプライベートだったり、記録を誰かに渡すとき、どんな手段をとるだろうか。かつては紙に、今なら、クラウドにデジタルデータとして残してリンクを送信する。その少し前によく利用され、多くの行政手続きの際に記録媒体として指定されてきたフロッピーディスクが、ようやく役目を終えようとしている。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、1970年代に登場、1980年代の普及期を経て、長らく記録媒体として重宝されてきたフロッピーディスクが現在まで使われてきた現場の声をレポートする。
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「フロッピーってなんですか」
社会科の授業、この言葉をきっかけに、筆者は子どもたちにフロッピーディスクの現物を持って行った。もう親御さんのもとにもほとんどないのだろう。3.5インチの2DDと2HDに5インチ(2HD)、8インチ、さらに3インチ(筆者がシャープのパソコン、X-1Dに使っていたもの、他社でも一部採用されたがかなり特殊)に磁気ディスクの歴史、ということでクイックディスク(これもシャープのパソコン、MZ-1500用。のちファミコンのディスクシステムにも採用)とSRAMカード、それにMOディスクも持っていった。
専門誌ではないので個々の説明はともかく、いまではいずれも社会的には(業界および界隈、マニアはともかく)主流ではなくなった記憶媒体だ。現代の子どもたちの多くはフロッピーを見たこともない子もいれば、その存在すら知らない子もいる。
実機で読み込ませることはなかったので期待ほどには興味を示してもらえなかったが、2DDの記憶容量がおおよそ720KBという説明は一部の物知りや「親が持ってる」という子から笑ってもらえた。元のサイズや設定にもよるが、いまや1MBもないのでは現行のスマホで撮った素のデジタル写真1枚すら入らないかもしれない。
しかし、いまだにこの「フロッピーディスク」の使用指定をしてきた国の機関がある。例えば経済産業省である。デジタル庁ができてしばらく、令和の世になっても使用メディアとしてフロッピーディスクは指定されてきた。それが1月22日、「指定する規制等の見直し」として改正、ついに廃止となった。
セキュリティとして有用だったフロッピーディスク
筆者も数年前、有限責任事業組合の申請で面食らったことがある。もちろんCD-ROMで記録したものでもOKとのことだったが、いまだにフロッピーディスクも記録媒体として指定されていた。
いまや、多くのパソコンにCDドライブどころかDVDドライブすら外付けで買わない限り付属しない時代、フロッピーディスクを読み込むフロッピードライブに至ってはまず付いていない。そもそもWindowsにしろmacにしろ、最新OSではフロッピーディスクを導入したとしても認識しないケース(あくまで一般的な使用事例として)がある。