米連邦捜査局(FBI)と米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、1月17日、中国製ドローンの使用は米国の安全保障に対して大きなリスクを伴う可能性があるとして、企業などに対して中国製ドローンを使用しないよう警告する文書を発表した。
中国企業は2017年に制定された国家情報法などにより、ユーザーデータを当局に報告する義務を負っており、米国内で記録された情報などが中国当局に筒抜けになるリスクがあるためだ。AP通信が報じた。
CISAはもともと米国家安全保障省に設けられた国家防護・計画局だったが、2018年に外局として独立し、米政府機関のコンピューターネットワークやサイバーセキュリティ、インフラの防護とそれに伴う官民の調整を主な職務としている。
中国製のドローンは製造会社のサーバーにデータを移送、製造会社がドローンに蓄積されたデータにアクセスできる仕組みになっており、中国の製造元から中国当局に米国内のデータが提供されるリスクが高いという。
送信されたデータには、米国内の米軍基地など主要インフラの情報が含まれる可能性があるため、FBIなどは「これらの情報が中国の情報機関に流出することも考えられる」としたうえで、中国製ドローンを使用しないよう警告した。
この背景には、米国の重要インフラでは経費の節約のため、多くの業務でドローンを活用することが増えていることがあげられる。
米政府機関が中国製ドローンの危険性を警告するのは今回が初めてではない。米陸軍は2017年に中国の大型メーカー「DJI」からのドローン購入を禁止している。DJIは中国・深セン市に本社があり、世界中に開発・営業拠点を構えており、「ドローン界の王者」と呼ばれるメーカーだ。
CISAは昨年、米国で販売されているドローンの50%以上はDJI社製で、「DJIが得た情報は中国政府機関に送られている」と警告していた。これに対して、DJI側は「そのような事実はない」と否定している。
CISAなどの情報をもとにして、米連邦議会では昨年12月、上下両院議員によって、連邦政府から資金提供を受けている機関が中国製のドローンを業務に使用することを禁止する法案が提出されている。