元日本ボクシング連盟会長の山根明氏が1月31日に肺がんのためになくなった。84歳だった。その強烈なキャラクターは多くの人の記憶に残っている。
2000年のシドニーオリンピックで日本代表チームの監督を務め、2011年に連盟の会長に就任。翌年には終身会長となった。2018年には強権的な組織運営などが問題視されて辞任するも、その後はバラエティー番組に出演するなどの活躍を見せた。自身を「男・山根」「カリスマ」と評するなど、その言動は強面の外見もあって強烈なインパクトを残した。
山根氏は本誌・週刊ポストの取材でもエッジの効いた持論を展開していた。2年前、高齢者の運転する自動車による事故とともに、「運転免許返納」が注目を集めた際は、こんなコメントをしていた。
「ボクは今年82歳になるけど、運転が好きやからね。毎日、朝から晩までセンチュリーのハンドルを握っていますよ。不安はないか? 不安なら朝から晩まで運転をやらんでしょう。車庫入れも得意ですよ。
はっきり言って高齢者は実際にはほとんど(車に)乗ってませんよ。免許がなくなるのが寂しいから返納しないだけ。たまにハンドルを握って、それで事故を起こす。ボクは高齢者には週に何時間かの車の運転を義務づけるべきやと思うんです。しかも、身体能力には個人差があって、若くても運転が下手な人もいます。後期高齢者で一括りにするのは失礼ちゃうかな。ボクの反射能力? 今でもパンチをもらったら体がとっさに反応しますよ」
2021年東京五輪の女子ボクシング(フェザー級)で入江聖奈が金メダルを獲得した際、『サンデーモーニング』で張本勲氏が「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね」「どうするのかな、嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技好きな人がいるんだ」とコメントして炎上した際は、山根氏は「同じ番組に出ていたら注意はしたと思うが、後になって批判する連中に便乗はしたくない」「ボクなら選手に失礼になるようなコメントは控えたでしょうが、あの場面では“アッパレ”を出してもらいたかった」とエールを送っていた。