たるみ治療で、顔の感覚が鈍くなってしまった。2024年1月25日、消費者庁は、美容医療に関連した重大事故の発生を報告した。
3年前の施術の事故が今になって明るみに
消費者庁では、毎週、一般人が巻き込まれた製品、サービスに関連した事故の発生を報告している。それらは重大事故と、それ以外の事故に分けて公表される。
この1月25日、重大事故の一つとして、美容医療に関連した事故が公表された。
その内容は次の通りだ。
事故発生日と通知受理日
• 事故が起きた日 → 2021年10月8日に事故が発生。
• 通知を受けた日 → 消費者庁は、事故について、2024年1月18日に通知を受けた。
製品名等と被害状況
• 関連するサービス → 事故は医療サービス(美容)に関連して起きたもの。
• 被害の状況 → 事故で1名が重傷を負った。
事故内容
• 何が起きたか → 美容外科でたるみ改善の施術を受けた人が、その後右耳周辺にしびれや違和感を感じて病院に行き、「右顔面知覚鈍麻」という状態が判明して重傷であることが明らかになった。
事故発生都道府県
• どこで起きたか → 事故は東京都で起きた。
右顔面知覚鈍麻は、顔の右側の感覚が鈍くなってしまう状態を指している。3年前の施術の事故が今になって報告されている点は一般的な事故報告とは異なっている。
たるみ改善の施術では事故報告が続く
今回の重大事故は、たるみ改善の施術ということで、どのような施術内容かは示されていないが、たるみ改善に関連した事故はこれまでにも報告されている。
たるみ改善のためのHIFU(集束超音波治療、ハイフ)により、神経障害を引き起こす事故が2023年3月に報告されている。これは国の消費者安全調査委員会の報告書で明らかにされたものだった。
ハイフによる事故では、ヤケドの事故も2023年9月に報告されている。この時には、同時にたるみ改善手術によって、まぶたが外側にめくれる状態になる事故が報告された。
美容医療では、継続的にトラブルが発生しており、施術を検討するときには常にリスクの可能性を考えて、情報を収集して、施術を受ける施設を慎重に選ぶことが重要になる。
参考文献
目の下のたるみ手術で重大事故、下まぶたが外に反り閉じられず、消費者庁公表
エステティックサロンなどでの日本のハイフ関連事故の詳細明らかに、国の消費者安全調査委員会が報告書
HIFU(ハイフ)の安全性と問題点を理解する、東海大学形成外科教授の河野太郎氏に聞く
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。