ライフ

増加中の「大腸がん」を怖がらず、早期発見の治療で根治を目指す

「大腸がん」は早期に発見でき、適切な治療を行なうと5年生存率は約90%(イラスト/いかわやすとし)

「大腸がん」は早期に発見でき、適切な治療を行なうと5年生存率は約90%(イラスト/いかわやすとし)

【週刊ポスト連載・医心伝身】大腸がんは臓器別罹患数で男女とも2位だ。粘膜に、がんが留まっているステージ0では内視鏡治療で済む場合もある。しかし、進行するとリンパ節への転移の可能性もあり、手術となる。適切に治療されればステージ0の5年生存率は90%以上と高い。現在は進行がんでも手術支援ロボットによる低侵襲な手術が可能なため、いかに早期に発見し、治療を開始するかがポイントだ。

 日本人の大腸がんは男女ともに臓器別患者数2位で、罹患数は男性のほうが多い。早期にがんを発見でき、適切な治療を行なうと5年生存率は約90%と高く、根治を目指せる。ただし、大腸がんの臓器別死亡数は男性2位、女性1位なのだ。原因としては進行がんで発見される症例が多いことが指摘されている。

 大腸がんの外科的治療は内視鏡、あるいは開腹、腹腔鏡だ。その基準となるのは、がんの大きさではなく、がんの深さとリンパ節などへの転移の可能性によって決まる。

 慈恵医科大学病院下部消化管外科の衛藤謙教授に話を聞いた。

「大腸がんはS状結腸と直腸に発生するものが約半数を占めています。がんが大きくても粘膜に留まっている場合は内視鏡で切除可能で、根治が期待できます。しかし、より深い粘膜下層の深部にがんが浸潤し、リンパ節転移の可能性がある場合には手術が必要となります。以前は腹部を大きく切る開腹手術でしたが、近年では進行大腸がんに対しても腹腔鏡手術が行なわれており、長期成績は開腹手術と比べても遜色ありません」

 腹腔鏡手術ではまず、全身麻酔で腹部に数か所の小さな創を開け、カメラと鉗子を挿入する。次に二酸化炭素を腹腔内に注入し、腹部を膨らませたあと、主に腹腔鏡内で手術を行ない大腸を切除する。

 腹腔鏡手術は結腸に生じたがんに対しても有効だ。具体的には、がんを中心に合計約20センチ以上の腸と周囲のリンパ節を一緒に切除し、小さな創から体外に取り出す。この過程において痛みは少なく、なにより離床や回復が早い。

「手術時間は結腸がんの場合、約2~4時間で終わりますが、直腸がんは腸が骨盤の中に埋まるように固定されているため時間がかかります。また男性は骨盤が狭く、内臓脂肪が多いので、女性よりも手術時間が長くかかる傾向にあります」(衛藤教授)

関連キーワード

関連記事

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
《155億円はどこに》ルーブル美術館強盗事件、侵入から逃走まで7分間の「驚きの手口」 盗まれた品は「二度と表世界には戻ってこない」、蒐集家が発注の可能性も 
女性セブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
ミントグリーンのワンピースをお召しになった佳子さま(写真はブラジル訪問時。時事通信フォト)
《ふっくらした“ふんわり服”に》秋篠宮家・佳子さまが2度目の滋賀訪問で表現した“自分らしい胸元スッキリアレンジ”、スタイリストが解説
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン