巨人のキャンプ初日の2月1日、宮崎のブルペンで捕手のミット音を響かせたのは、今季の再起を誓う菅野智之(34)だった。阿部慎之助監督(44)が3月29日の開幕投手に指名した新エース・戸郷翔征(23)は初日を25球で軽く流したが、ブルペンに一番乗りした菅野は力のこもった33球を投じた。4日目も30球を投げ込み、阿部監督は「例年にないくらい飛ばしているので意気に感じる」と評価した。
ただ、急ピッチの調整はかつてのエースが窮地にある証左でもあるだろう。巨人番記者が言う。
「開幕までケガのないように調整する戸郷に対し、先発が確約されていない菅野はアピールするピッチングでした。昨年はコンディション不良で4勝8敗、先発登板はプロ11年で最少の14試合に留まりました」
そんな菅野に対し、阿部監督は元日のスポーツ報知でストッパー転向の可能性にも言及した。
「先発にこだわってきた菅野は本意ではないでしょう。背水の陣で臨む今年は、『15勝と最多勝』を目標とし、12月のハワイ自主トレでは例年の2倍以上の走り込みをしてきたそうです」(同前)
だが、その自主トレの風景も一変していた。ハワイでの自主トレは「菅野組」の恒例で、東海大出身の後輩・中川皓太(29)や、2013年に開幕投手を務めた宮國椋丞(31、昨年引退)らが参加してきた。2017年オフには8人の大所帯だったが、コロナ明けで3年ぶりだった昨オフは東海大の後輩の大城卓三(30)と山崎伊織(25)、シーズン中からアドバイスしていた堀田賢慎(22)の3人に。そして今オフはついに大城のみの参加となった。
「後輩の参加費もすべて出してやることで知られる菅野は自主トレに1000万円超を投じていたといいますが、参加メンバーがあまり育たなかった。宮國や2017年ドラ1・鍬原拓也(27)など戦力外になった者も多い。それもあってか、かつての参加メンバーも動作解析施設での自主トレなどに切り替えています」(スポーツ紙デスク)
今オフ、オリックスからトレードで巨人入りした中継ぎの近藤大亮(32)は2017年オフに参加した“元・菅野組”だ。
「トレード発表直後は、菅野から『何か困ったことがあったら言って。力になるから』とLINEをもらったと明かしていた近藤ですが、結局、大阪・羽曳野の同じジムに通う大勢(24)との自主トレを選びました」(同前)