カンボジア当局は1月下旬、首都プノンペンなどの3カ所で、メタンフェタミンと幻覚剤のケタミンなどの違法麻薬1.5トンを押収し、これらの麻薬を台湾に密輸しようとしていた中国と台湾のマフィア組織の5人を麻薬密輸容疑で逮捕した。背後に中台の大掛かりな麻薬製造・密輸組織が絡んでいるとみて、捜査を進めているという。ロイター通信が報じた。
麻薬が保管されていた3カ所のうちの1カ所は、プノンペンのカンボル地区で、他の2件は中国企業が大規模開発を進め、近年犯罪が急増している南部タイランド湾に面したリゾート地の港湾都市シアヌークビルだった。
シアヌークビルには中国マフィアが管理するメタンファタミンを製造する工場があり、今回の中台マフィア組織の摘発直前に、同工場で7人の中国人が違法薬物製造の容疑で逮捕されている。
これらの麻薬は台湾に向けに発送される間際で、台湾船籍の貨物船がシアヌークビルの海岸ふ頭で、積み込む準備をしていたところだったという。
カンボジアでは近年、中国資本が多数進出しており、中国マフィアもカンボジア国内での麻薬製造・密輸やカジノ経営などに乗り出しているという。さらには人身売買やサイバー詐欺などの犯罪に手を染めているといわれている。
このため、スイス・ジュネーブにある「国連国際組織犯罪防止グローバル・イニシアチブ」はカンボジア政府に対して、カンボジア国内で活動する中国マフィア組織に対してより厳しい措置をとるよう求めている。
中台のマフィアの暗躍を容易にしているのは、カンボジア政府の有力者らが裏でマフィア組織に協力しているためで、多額の資金を得ているとみられている。