放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、サンドウィッチマンとの交友や林家正楽さんの思い出について綴る。
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本家アカデミー賞より少し早く私の番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)では毎年、前の年に話題になった人を対象に“ビバデミー賞”なるものを発表しスタジオへ招き表彰している。
今年は連日「サンドウィッチマン」、元テレビ東京なのにニッポン放送で喋っている「佐久間宣行」、この3月で『笑点』を卒業する「林家木久扇」、そして昨年12月に横浜スタジアムで28分30秒もの長さで始球式(とは名ばかりの一人コント)の記録を更新した“野球と警察”バカ「柳沢慎吾」らに来てもらった。本家の『ゴジラ-1.0』に負けないいい顔ぶれだと思う。みんな口を揃えて言ってくれる。「どんな賞よりも、高田センセーのこの賞が一番嬉しい」と。
サンドに会ったので「いつも芦田愛菜ちゃんと仲良くテレビやってんの知ってるけど、ちゃんと見とけよ。お年頃だ。監督不行き届きだぞお前ら。愛菜ちゃん、今若手落語家の柳亭小痴楽に夢中でいつもスマホで噺きいて、部屋にはポスターが貼ってあるらしいじゃねぇか。いったいどうなってんだ」。「落ち着いて下さい。それはドラマです」。きけば西島秀俊とやってる日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』のことだそうな。なんだこの「寿限無」みたいな長いタイトルは。覚えられないだろ。
ヤンチャな小痴楽の名前で想い出した。父の五代目痴楽(私と同世代、早逝)と私と寺尾(先日早逝)と琴ヶ梅で何故か1990年代本当によく銀座へ飲みに行った。痴楽も寺尾も本当にサッパリしていていい男だった。
周りを見渡すともう誰もいない。先日は紙切りの正楽も亡くなった。同世代で若き日は酒好きの右朝、正楽とでよく新宿で飲んだっけ。あれだけ酔っ払っても翌日寄席ではキチンと鋏を持ってどんなリクエストでも、「藤娘」でも「ウルトラマン」でも鮮やかに切ってみせた名人芸。
団塊の世代も少なくなり芸界もサンドやら伯山らの時代だ。伯山がラジオで叫ぶ「ダイコン!」、ナイツ塙がラジオでつぶやく「私も高田センセーから“流れるような棒読み”と言われましたけど新しい“棒”をみつけました。(ドラマ『Eye Love You』で)二階堂ふみの父親役をやってる志らく師でーす」。談春の会へ行ったら枕で「志らくも何でドラマに出るかね」とドッカーン。
実は志らくも自分で「オレは棒ダイコンだな」と気がついた様子。“棒ダイコン”って何だ? ブリ大根みたいじゃねえか。ダイコンだけにもうすぐ(ドラマ)おろされる?
※週刊ポスト2024年2月23日号