築地から約2.3km南に移転した豊洲市場が2018年10月に開場してから5年余。ようやく場外の商業施設「豊洲 千客万来」が開業にこぎつけた。もともとは、豊洲市場の開場とタイミングを合わせて開業する計画だった。だが、東京都が当初の段階で委託を決定していた運営事業者2社が2015年に相次いで辞退するなど紆余曲折があった。
暗礁に乗り上げた同施設の事業が再び動き出したのは、再公募で手を挙げた万葉倶楽部(神奈川県小田原市)が運営事業者に決定した2016年。しかし、その後も、豊洲市場の移転問題と移転延期、新型コロナウイルス禍、東京オリンピックの1年延期、建設コストの高騰、深刻な人手不足など逆境に次ぐ逆境に見舞われた。万葉倶楽部の高橋眞己副社長が振り返る。
「8年前に事業がスタートして以降、苦難の連続でした。東京五輪の時は開催期間の前後を含めて工事車両通行不可となり、工事ができず大幅な遅れが出たこともあります。人手不足は今も厳しい状況が続いていますが、困難を乗り越えて船出を迎えることができました」
「食楽棟」には豊洲市場の仲卸業者や築地場外市場の店舗、地元・江東区の事業者から計約70店舗が出店。インバウンドの誘客にも期待が寄せられる。課題は日本人の集客だ。都内に開業が相次ぐ大型商業施設との差別化についてこう語る。
「豊洲市場の隣という優位性を存分に活かし、市場関係者の皆様との連携も強化して市場・場外が一体となる形で豊洲エリアににぎわいを呼び込み、盛り上げていきたいですね」(高橋副社長)