今冬クールのドラマでは中年の男性俳優が主演する“おじさんドラマ”が話題を集めているが、それとは対照的なドラマとして異彩を放っているのが道枝駿佑主演『マルス―ゼロの革命-』(テレビ朝日系)だ。放送作家でコラムニストの山田美保子さんがその「ハマるポイント」について解説する。
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1月期は“おじさんドラマ”“お父さんドラマ”が花盛りである。
ネプチューンの原田泰造主演する“おっパン”こと『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(東海テレビ・フジテレビ系)や、とんねるずの木梨憲武が奈緒とW主演している『春になったら』(関西テレビ・フジテレビ系)、反町隆史主演の『グレイトギフト』(テレビ朝日系)。さらには吉田鋼太郎が大暴れする『おっさんずラブ‐リターンズ‐』(同)、西島秀俊主演の『さよならマエストロ~父と私のアッパシオナート~』(TBS系)、そして早くも今年No.1ドラマとの呼び声も高い、阿部サダヲ主演の『不適切にもほどがある!』(同)などである。
加えて、2クール目に突入している『相棒season22』(テレビ朝日系)もある。個人視聴率、コア視聴率が重要視されて久しいものの、連続ドラマについては相変わらず世帯視聴率が取り沙汰されている。
その“世帯”の数字を獲りたければ、おじさん(M3)、おばさん(F3)=50歳以上の男女=に見てもらうことが不可欠であるからなのか。とにかく、ここまで、“おじさん”と“お父さん”が勢揃いしたクールというのもこれまでなかったのではないだろうか。
そんな中、少数派とも言うべき“若者ドラマ”が、なにわ男子の道枝駿佑主演の『マルス―ゼロの革命-』(テレビ朝日系)だ。
道枝主演ゆえ、キラキラした青春群像劇かと思いきや、髪を金色に染め、悪役を絵に描いたような江口洋介と対峙する道枝の様はキラキラではなくギラギラという表現のほうが合っている。テレ朝のリリースには“青春クーデターサスペンス”とある。
道枝演じる謎多きカリスマ転校生・美島零《ゼロ》に導かれた落ちこぼれ高校生たち7人が【マルス】なるグループを結成。悪事に手を染める大人たちにYouTubeやSNSを駆使しながら正義の鉄槌を下していくストーリーだ。
『ぼくらの七日間戦争』と重ね合わせる視聴者も?
中高年の読者ならば、1988年に公開され、宮沢りえの女優デビュー作となった『ぼくらの七日間戦争』と『マルス~』とを重ね合わせる人も多いことだろう。中学と高校という違いはあれど、生徒たちが結託して大人に立ち向かうという構造は確かに似ている。
いずれにせよ、青春ドラマだと思って2話までは見ていなかったのだが、仕事先で会う大人たちの中に「面白い」「今期いちばん熱心に見ている」という声があまりにも多いため見逃し配信で確認したところ、私もハマってしまった。