矢野経済研究所は2024年2月9日に、2023年度の国内エステティックサロン市場が前年度比99.2%の3139億円となる見込みであることを発表した。
脱毛サロンの全国チェーン破産が続き、レディスのエステ市場が小さくなる一方で、メンズエステ市場の成長が目立っている。
メンズエステは前年比102.5%
前年も矢野経済研究所によるエステサロン市場の調査を伝えている。2022年度の市場は3年連続で縮小となり、レディス市場(美顔、痩身・ボディ、脱毛など)の下降傾向が顕著だった一方、メンズエステ市場は美意識の高まりに伴い拡大の兆しを見せていた。エステ市場全体が振るわない中で、若い男性層の利用が増えている点が特に注目された。また、脱毛サロンの破産や返金トラブルが市場に与える影響も問題になった。
さらに、同研究所の報告によると、2023年度のエステサロン市場は、全体としては前年に続いて4年連続でマイナスとなった。市場規模は冒頭の通り、前年度比99.2%の3139億円。
シースリー(C3)や銀座カラーなど全国チェーンの破産が続き、多くの被害者を出したことで注目された。コロナ禍はエステサロン市場にとって逆風だったとされる。利用者は増えるが、店舗が増えて、宣伝広告費が増えて、人手不足で採用費が上がり、利益が低下していた。ここにコロナ禍での利用者の減少が、前払いを前提にした脱毛などに大きな打撃を与えた。
一方で、プラスの影響もあったという。というのも、リモートワークの普及により、男性の美容意識が高まり、男性向けエステサロン市場の拡大につながったという。コロナ禍の美容への影響は、Zoomなどのウェブ会議で自分の姿や肌を画面を通して見る機会が増えたことの影響やSNS普及が大きく影響したとされる。レディスのエステサロンは問題を抱える一方で、メンズエステの市場は引き続き拡大した。メンズエステ市場は、前年比102.5%の162億円。
脱毛は厳しい状況が続く
矢野経済研究所は、変化する消費者ニーズに応えることが、業界の再成長をうながすと指摘する。エステ脱毛や医療脱毛の厳しい状況はあるが、メンズエステなど新しい形に進化していくのかもれない。
エステ市場が縮小する一方で、美容医療の市場は規模が拡大する。エステから美容医療への流れが加速する可能性もある。ただし、エステでも美容医療でもトラブルが継続的に報告されており、安全で安心な美容が求められている。
参考文献
2023年度のエステティックサロン市場規模は前年度比99.2%の3,139億円の見込~脱毛サロンのナショナルチェーン破産事案つづき施術(レディス)市場への影響拡大~
エステ市場3年連続縮小、男性市場拡大するも脱毛倒産響く、矢野経済研究所調べ
美容医療市場がコロナ前水準に、5つのトレンドが勢いづく理由とは
コロナの衝撃から立ち直った美容医療、急がれる課題への取り組み
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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