中国国営の中央テレビ局(CCTV)は日本の大晦日に当たる春節(旧正月)前日の2月9日夜、毎年恒例の年越し番組「春節連歓晩会(春晩)」を放送した。春晩はいわば日本の紅白歌合戦のような番組で、世界で最も視聴者の多いテレビ番組といわれている。今年はそこに中国人民解放軍機甲部の現役将兵ら200人以上が両手に機関銃を抱えて登場して熱唱した。
「春晩」で現役の軍部隊が登場したのは初めてで、台湾問題や米中対立などで、中国は妥協しないという軍事的威嚇との見方も出ている。
春晩に出演したのは中国人民解放軍北京駐屯地の66477機甲部隊と人民解放軍文芸軽騎兵隊。それぞれヘルメットをかぶり、カーキ色の迷彩服を着て、両手に機関銃を持ち、舞台上の段上で隊列を組み、中国軍の軍歌「決定的な勝利」を合唱した。
66477部隊は、北京駐屯地に所属する機甲部隊で、人民解放軍として外国人賓客に広く紹介されている「模範部隊」であり、中国を訪問する外国の軍部隊将校にお披露目されることもあった。
部隊の熱唱と合わせて、ステージ上のスクリーンに戦闘機や戦車、潜水艦の戦闘シーンや水陸両用車両の上陸場面、ミサイルの一斉発射などの映像が映し出されるなど、迫力ある演出がなされた。
春晩は、歌やダンス、漫才、コント、伝統劇、武術、マジック、サーカス、ミュージカルなどの演目がラインナップされ、中国本土だけでなく、世界中の中国人・華人が視聴している娯楽番組。今年は、現役部隊が登場したことで、習近平指導部の軍事強硬路線が透けて見える演出となった。