【週刊ポスト連載・医心伝身】更年期障害は閉経前後の女性だけではなく、男性にも起こる。男性ホルモン(主にテストステロン)の減少で、不眠にのぼせ、イライラ、やる気や性欲減退などの症状が始まる。40代後半からリスクが高くなり、さらにメタボリック症候群が男性ホルモン減退を加速させる。また、うつ病と疑われる病状が更年期障害だったということも。男性ホルモン補充療法で症状は改善する。
男性ホルモン(テストステロン)の原料はコレステロールで、その95%は睾丸(精巣)で造られる。テストステロンは10代後半から分泌量がピークを迎え、年齢とともに徐々に低下してしまう。
このテストステロンは主に骨や筋肉を大きくし、内臓脂肪蓄積の抑制、造血作用、精子の形成や性欲などの働きをする。他にも精神活動やミトコンドリアの健康を保つなど、様々な働きを担うこともわかってきた。
医療法人インテグレス新橋消化器内科・泌尿器科クリニックの伊勢呂哲也理事長に話を聞く。
「男性の更年期障害は個人差もありますが、40代後半から始まるといわれています。やる気や性欲が減退したり、うつ症状になる方もいます。例えば今まで好きだった釣りなどの趣味に興味を失い、何をするにも億劫になったりすることもあります。他に筋肉痛や不眠、のぼせ、トイレが近くなるなどの男性ホルモンとはあまり関係ないと考えられていた症状が起こります。これまでは歳のせいと思われてきたことが、実は更年期障害だった事例も多いのです」
更年期障害の検査は血液検査により、テストステロン量を測る。次にAMSという問診票に設問されている身体症状、精神症状、性機能症状の17項目の質問に5段階評価で自己記入する。それらの合計が26以下は正常、27から36は軽度、37から49は中等度、50以上は重度で、医療機関の受診を薦められる。