回を追うごとに注目度が高まっているNHK大河ドラマ『光る君へ』。作品の展開もさることながら、これまでの大河ドラマではあまり見られなかった“異色キャスト”の面々に注目が集まっている。今作はロバート・秋山竜次(45)やはんにゃ・金田哲(38)らお笑い芸人が多数出演しているのだ。
さらに吉高由里子(35)演じる主人公・まひろ(紫式部)のライバルとなるききょう(清少納言)役には、タレントのファーストサマーウイカ(33)が大抜擢された。ウイカは今回が大河デビュー作ながら、引っ込み思案なまひろと好対照な快活で鋭い才女を熱演している。芸能関係者が語る。
「関西弁の毒舌でバラエティータレントとしてブレイクしましたが、舞台女優や地下アイドルを長く続けていた苦労人でもある。2014年には『月震のかずみ』という映画で主演も務めています。今回は脚本家の大石静さんが会った途端に『清少納言だ』とイメージにハマりオファーされたそうです」
NHKでは特番も製作
『光る君へ』は平安貴族の宮中での権力闘争を描いているが、実はウイカの親族には“神様”と崇められる“やんごとない人物”がいるのだという。
「ウイカさんの大叔父は“メンズファッションの神様”と呼ばれたファッション評論家・石津謙介さん(2005年没)です。2021年にNHKで石津さんの生誕110周年の特番が放送された際には、ウイカさんもゲストで登場しました」(同前)
この石津謙介氏、若い人にはあまり馴染みがないかもしれないが、日本のファッションの歴史において偉大な功績を残した人物だ。ファッションジャーナリストの南充浩氏が語る。
「石津さんはアメリカントラッドスタイルの服を本格的に日本に取り込み、メンズファッション文化の礎を築いた方です。『ヴァンヂャケット(ブランド名はVAN)』の創業者で、1960年代に銀座のみゆき通りに集まる流行に敏感な若者『みゆき族』の間で大流行しました」
いまも残る多くの文化や言葉の生みの親でもある。
「『カジュアル』という言葉の生みの親でもあります。ほかにも『トレーナー』『TPO』などの和製英語も彼が作ったもの。通常アパレルというと服を作り、お店で売るのが基本です。しかし、彼はブランドを作って服を売るだけに留まらなかった。例えば住と服の提案。ライフスタイルや趣味とアレンジして伝えていきました。ヴァンは1978年に経営破綻しますが、石津さんの影響は今なお残っています」(同前)
ウイカの貴族役がハマるわけだ。
※週刊ポスト2024年3月8・15日号