香港の警察トップ、レイモンド・シウ・チャクイー警視総監はこのほど、香港立法会(議会)の場で、今後数カ月以内に、公共施設などに新たに約2000台の監視カメラを設置することを明らかにした。香港では、すでに約2万3000台の監視カメラが設置されている。
新たな監視カメラは顔認識機能が搭載される可能性があり、既存の監視カメラも順次、同機能を備えたものに切り替えられ、各種犯罪のほか、反国家的な活動動の摘発にも活用されるという。香港のオンラインニュース専門ポータル「香港01」が報じた。
これは、総監が議員から「監視カメラが国家安全保障の目的で使用されるかどうか」との質問に答えて明らかになったもの。総監は「この装置はあらゆる違法問題に取り組むのに役立つ」と述べるとともに、監視カメラの具体的な設置台数を明らかにした。
香港政府庁舎などの政府関連施設のほか、鉄道の各駅やフェリー乗り場など、混雑する場所に重点的に設置されるという。
香港政府のデータベース内にある個人データを活用するかどうかについて、総監は「市民のプライバシーを侵害しないように慎重に判断するが、捜査中にデータを入手する必要が生じた場合、警察は法律に従う」と述べており、顔認証機能が個人データに活用される可能性を否定していない。
これについて、総監は「このような情報を開示すれば、政府の治安体制や法執行機関の捜査手法が犯罪者に暴露される可能性がある」と語り、運用方法の詳細を明らかにしていない。
香港立法会では現在、民主化運動や外国のスパイ摘発など国家の安全を脅かす行為や活動を禁止する法律ともいえる「基本法第23条」の立法化の動きが急ピッチで進んでおり、市民の間では、この顔認証機能付きの監視カメラの設置のよってさらに民主化運動の取締が強化されるのではないかと受け止められている。