女優の山本陽子さん(享年81)が2月20日、急性心不全のため亡くなった。2日には、若かりし頃に映画で共演した俳優の高橋英樹(80才)と『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演。3日には自宅がある熱海市の神社で節分の豆まきに参加するなど、最後まで精力的に仕事をこなしていたという。だからこそ、突然の訃報に周囲も驚いていたようだ。
いまから、約60年前にデビューした山本さん。高校卒業後は秘書に憧れ、証券会社で働いていたが、職場の同僚が応募した「日活ニューフェイス」に合格し、芸能界入りを果たす。しかし、同世代に浅丘ルリ子(83才)や吉永小百合(78才)といった人気スターがひしめいていたこともあり、目ぼしい役を与えられる機会に恵まれなかった。
「新人の契約期間である5年間のうちにブレークできず、早々と日活を退社しています。女優としての転機は、当時は映画より格下に見られていたテレビに活路を見出したことでした。『太陽の涙』(TBS系)では出戻り娘、『白い影』(同)では主人公を支える看護師を演じ、瞬く間にお茶の間の人気者になったのです」(映画関係者)
山本さんも後に、「小柄だったこともあり、スクリーンよりもお茶の間のテレビの画面の方が合っていた」と振り返っている。
1980年代には『黒革の手帖』(テレビ朝日系)でクラブのママとしてのし上がる元銀行員、『ザ・ハングマン』シリーズ(テレビ朝日系)では悪事を暴く秘密組織のリーダーを演じて、女優としての幅を広げた。テレビCMでの印象も強く、特に山本海苔店とは1967年の専属契約開始以来、57年にわたってイメージモデルを務め、ギネス記録にも認定された。