幕内力士だった北青鵬の暴力行為に対する監督義務違反などで、委員から年寄への2階級降格と3か月の20%報酬減額処分を受けた宮城野親方(元横綱・白鵬)。宮城野部屋は消滅の危機に直面している。
当面の措置として、宮城野親方が宮城野部屋の師匠の立場を外れ、春場所(3月10日初日)は所属する伊勢ヶ濱一門内の別の親方が師匠代行を務めることになったが、部屋付きの間垣親方(元前頭・石浦)が代行を務める案は執行部に認められなかったという。若手親方が言う。
「間垣親方は6月1日に国技館での断髪式を予定しており、“まだ髷がついている”という理由で認められなかったという。ただ、過去には髷がついたまま部屋の師匠になったケースはあり、最近では2020年に荒汐部屋を継承した蒼国来が、引退と同時に部屋を継承している。髷がついたまま部屋の師匠となり、1年半後に引退相撲をしている。
混乱を避けるという理由で間垣親方を“春場所限定の代行”とする提案も認められなかったという。髷が云々というより、北青鵬の出身でもある鳥取城北高の相撲部総監督(校長)の息子という間垣親方の立場が問題視されたようだ」
宮城野部屋にはこの春場所でも、幕下最下位格付け出し資格で初土俵を踏む鳥取城北高のOB(松井奏凪人)の入門が決まっている。昨年3月に高校を卒業したが、そのまま鳥取に残って母校で稽古を続け10月の国体の成年の部でベスト8。それによる幕下最下位付け出しの資格で入門することになっている。これは逸ノ城や伯桜鵬と同じパターンだ。相撲ジャーナリストが言う。
「白鵬は鳥取城北高から宮城野部屋への入門のルートを築き上げた。すでにモンゴル人留学生や白鵬杯の優勝者をこのルートに仕込んでおり、この先も続々と入門する予定だった。ただ、北青鵬は鳥取城北高時代にすでに粗暴ぶりが問題になっていた。間垣親方が師匠の代行では、そのルートからの供給が続いてしまうことになる。相撲協会としては、このルートそのものを断ち切る目的もあったのでしょう」