傘寿を過ぎてなお、意気軒昂に活躍を続けていた女優の山本陽子さん(享年81)が2月20日、急性心不全のため亡くなった。“恋多き女優”として浮き名を流した一方で、生涯「おひとりさま」暮らしを満喫してきた山本さんだったが、ここ数年は立て続けに親しい人を見送り、人知れず気落ちすることもあったという。なかでも山本さんがショックを受けたのが、友人の岡江久美子さん(享年63)の死だった。
「年齢は岡江さんの方が一回り以上下でしたが、晩年になって世代を超えた交流が始まったそうです。2人をつないだのはゴルフ。女性だけの同好会をつくり、よくコースを回っていたそうですよ」(テレビ局関係者)
その岡江さんが新型コロナウイルス感染症による肺炎で帰らぬ人となったのは2020年4月。自分より若い友人を見送らなければならない現実を、山本さんはなかなか受け入れられずにいたという。山本さんはゴルフ同好会会長を務めていたが、コロナ禍と岡江さんの死をきっかけに、同好会は解散した。岡江さんを失った傷が癒え始めた頃、再び親しい人の死が山本さんを襲う。
「岡江さんの死から2年後に、双子のようにつきあってきたお姉さんを亡くしているんです。4人きょうだいだった山本さんは、兄、姉、弟がみんな年子で仲がよかった。特にお姉さんは山本さんの個人事務所の社長として長年、山本さんを支えていました。お姉さんの闘病中、山本さんは仕事をセーブして時間を作り、看病にあたっていました」(山本さんの知人)
2022年に姉を看取った際には、さすがの山本さんも肩を落としていたという。
「山本さんがあそこまで憔悴しているのを見たのは初めてでした。二人三脚でやってきたお姉さんを失うことは、気丈な山本さんにとっても耐え難いことだったのでしょう。“姉の存在が大きすぎた”と漏らすこともあり、眠れずに体調を崩した時期もあったようです」(前出・山本さんの知人)
落ち込む山本さんを奮い立たせたのが、長年情熱を注いできた仕事だった。
「ずっと主役を張ってきたかたですから、脇役のオファーが増えた際はかなり悩まされていました。先輩の平幹二朗さんに『俳優は脇役を演じるようになってからが勝負だ』と励まされ、役者魂に火がつき、幅広い役柄に挑戦するようになったそうです」(舞台関係者)