中国と北朝鮮の貿易が急回復している。中国税関当局が1月に発表した輸出入統計(ドル建て)によると、中国と北朝鮮の2023年の輸出と輸入を合わせた貿易総額は22億9538万ドル(約3400億円)だった。対前年比で2倍以上に伸び、新型コロナウイルス禍前の2019年と比べても82%にまで戻ったという。
昨年後半以降、北朝鮮から中国への「かつら」と「つけまつげ」の輸出が大きく伸びている。北朝鮮は国連安保理の決議などで地下資源や農水産物の輸出が禁じられていることもあり、「かつら」と「つけまつげ」が貴重な外貨稼ぎとなっている。ロイター通信が報じたところでは、これらの製品の輸出額は1億6700万ドルで総輸出額の6割に近いとされる。
これらを輸入した中国企業は、新たに加工、包装して、「中国製」として日本や米国、韓国など世界中の美容室に販売しているという。
中国企業が北朝鮮製品をこうした形で海外に輸出することは国連の対北朝鮮制裁決議に抵触する可能性があると、米国政府は中国政府に警告した。
米政府の調査によると、これらの製品の大半は北朝鮮の労働改造所で製造されており、原料費以外ほとんどコストがかかっていない。こうして得たれた外貨収入は金正恩一族の贅沢品購入や武器輸入などに使われている可能性がある。
米財務省は中国政府に対して、これらの製品が北朝鮮国内でどのようにして製造され、中国企業の手に渡っているのかなどを厳密に調査するよう求めているという。
一方、中国外務省の報道官は「国連制裁違反の疑いは誇張されるべきではない」として、これらの製品の輸出は合法であるとの立場をとっている。
北朝鮮の新たな制裁回避策に国際社会の注目が集まっている。