スケバン制服に中森明菜ちゃん風ヘア──。“昭和のおじさんドラマ”として話題の『不適切にもほどがある!(ふてほど)』(TBS系)でひときわ注目を集めているのが阿部サダヲ演じる主人公・小川市郎の娘・純子役の河合優実(23)だ。
昭和から令和にタイムスリップした市郎がポリコレ偏重の世の中に風穴を開ける同作で、河合演じる純子は「うるせぇクソチビ!」と市郎を罵る反抗期の不良娘。これがハマり、SNSでは〈可愛すぎる〉〈最高〉と絶賛されている。
「河合は2019年にデビューし、わずか3年で数々の映画賞の新人賞を受賞した逸材です。 “令和の山口百恵”と取り上げられることもあり、河合自身も高校時代から山口百恵に似ているとよく言われていたようです。本人も昭和の大スターにおそれ多いとしながらも似ていると自覚したようで、『プレイバックPart2』を完コピしたこともあったそうです。『祖母の若い頃も百恵ちゃんにそっくりなんです』とも明かしています」(スポーツ紙記者)
同世代の女優とは少し違う雰囲気をまとった河合は、業界関係者の間では知られた存在だった。『みんなの朝ドラ』著者でライターの木俣冬氏は、映画『ちょっと思い出しただけ』(2022年2月公開)をきっかけに、河合に注目していたと言う。
「将来有望なダンサー役で、感情表現のみならずダンスシーンも見事でした。2022年頃から映画関係者や映画ライターたちがこぞって“河合優実って良いよね”と言ってました。
これまでは現代っ子のような役柄が多かったのですが、今作では昭和のレトロな髪型もファッションもよく似合っていて、1980年代の女の子のツッパリながらも純情可憐な雰囲気を見事に表現しています。
河合さんの演技は様式的に見せるのではなく心の内側を躍動させているので、それが振動のように共演者にも伝わって名シーンが生まれているようです」(木俣氏)
周囲に媚びない雰囲気が「百恵さんっぽい」
持ち前の“昭和感”が『ふてほど』の純子に見事にマッチした河合。木俣氏はこう続ける。
「良い意味で表情が華やかなタイプではなくて、うつむき加減で影があるというか、自分を可愛く見せようとせず、周りに媚びない。その雰囲気がまた百恵さんっぽいですね。
その分ちょっとした瞬間に顔をほころばせて笑ったり、上目遣いに睨んだりすると空気がワッと動く、天性のスターです。凜とした空気があるから、今後は大河など時代劇でも観たいですね」
昭和の大スターは21歳で引退したが、23歳の河合はその「向う側」に――。
※週刊ポスト2024年3月22日号