「権力渦巻くドロドロ展開の中で、唯一の癒し」「爪をとぐ姿がかわいい」──NHK大河ドラマ『光る君へ』のとある“出演者”が、毎週の話題をさらっている。
主人公の紫式部(まひろ)を演じる吉高由里子(35才)と、『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルの一人ともされる藤原道長を演じる柄本佑(37才)の切ない恋模様から権謀術数うごめく平安貴族たちの政治闘争まで、見どころに事欠かない同作。特に熱視線を集めているのは、黒木華(33才)演じる源倫子の飼い猫・小麻呂。まひろや倫子たちのそばでたたずむ姿や雨の中に飛び出していく姿など、愛くるしさと圧倒的な演技力が目を引く。そんな“名優”の正体とは──。
小麻呂を演じているのは、動物プロダクションのグローバル・アニマルアクトに所属する9才のオス、ニモくん(ミックス)。同プロダクション代表の菊田秀逸さんが話す。
「ニモはブリーダーのところで生まれ、子猫のときにスカウトしました。今回の出演はNHKが“平安の絵巻に描かれているような柄の猫を探している”とのことで、事務所で飼育している34匹の猫のうち5匹をオーディションに連れて行ったことがきっかけです」
気になるオーディション内容は人間にも引けを取らないシビアなもの。毛色や柄、かわいさといった容姿はもちろんのこと「名前を呼んだらそばにくるか」「だっこを嫌がらないか」など、演技力を厳しくジャッジされた。
ドラマやCMに登場する動物タレントはいまや珍しくもないが、猫に演技をさせるのは難しい。特に猫は濡れるのを嫌うため、とりわけ話題となった第7話の「雨のシーン」は、まさに名演だったという。
「猫の中には、濡れるのを極端に嫌がって立ちすくんでしまう子も少なくありませんが、ニモは嫌がらずに演じてくれました。走らせたい場合や、逆にゆっくり歩かせたいシーンなど理想の移動スピードに合わせて、ニモの好きなおやつをあげたり、ごほうびにしています。あげすぎるとテンションが上がりすぎてしまいます(笑い)」(菊田さん・以下同)