政治倫理審査会で「全く承知しておりません」を連発した安倍派幹部の西村康稔・前経産相。派閥パーティー券の自分の販売ノルマさえ、「承知していない」というのだから、何から何まで秘書の責任にするつもりらしい。そんな西村氏が“ある秘書”のことだけ、ことのほか大切に扱っているようだ。
西村氏が経産大臣だった昨年11月、米国外遊に同行させ、サンフランシスコの高級ホテルで自室と行き来できる「コネクティングルーム」に宿泊させた(西村氏は否定)と『週刊文春』で報じられた、永田町で“黒ビキニ秘書官”と呼ばれる女性だ。
“黒ビキニ”の呼称は、同記事内で「複数の関係者宛に届いた」とされている秘書官採用の経緯について疑問を呈する匿名のハガキに、同秘書官の個人情報とともに本人のSNSのものとみられる黒ビキニ姿がプリントされていたことに由来する。
昨年12月、西村氏の大臣辞任とともにこの女性は秘書官の職を解かれており、身を退いたものと思われていた。ところが、そうではなかった。自民党関係者が語る。
「西村さんの議員会館の事務所に挨拶に行ったら、あの女性がいてビックリしました。今は私設秘書をやっているそうです。本人は報道を全く気にしていない様子で、あっけらかんとしていましたね。
それにしても、あんな騒動があっても彼女を私設秘書として雇っているのは、周囲もみんな驚いていました。有力な支援者からの紹介だからというのもあるかもしれませんが、本当にお気に入りなんだなと……」
この女性、昨年2月に西村事務所に採用されてまだ勤続1年。事務所関係者はこう振り返る。
「はがき整理の仕事しか頼めないくらいだったのに、それが半年経たずにいきなり大臣秘書官に抜擢されたから驚いた。アパレル業界で秘書をやっていたようですが、政治家の秘書経験はゼロだったのに……」
特別職国家公務員である大臣政務秘書官といえば、議員の身内や長年仕えた腹心のベテラン秘書が務めるポスト。給料もキャリア官僚並みだ。西村事務所に聞くと、こう説明した。
「大臣退任時の政務秘書官は、現在は、国会事務所で私設秘書として勤めています。過去に秘書業務の経験もあることから、ベテラン秘書も含めた面接を行ない、(昨年2月に)採用しました。
試用期間の間、勤務態度、業務実績等を見届けたうえで、私設秘書として採用し、その後、政務秘書官を務めていたものです。また、当該秘書を中傷する文書などについても警察に被害届を出し、捜査に当たって貰っております」
西村氏お気に入りの秘書は政倫審での「秘書に責任転嫁証言」をどう聞いたのだろうか。
※週刊ポスト2024年3月22日号