フジテレビを昨年定年退職し、現在も引き続き報道局に勤めている阿部知代さん(60)。長年、報道番組を担当してきたが、40代になってからはバラエティ番組にも出演するようになった。阿部さんは、自分に与えられた仕事がちゃんと出来ていないことに悩んでいたが、「あのひとことで楽になりました」と口にする。そこには恩人とも言える“大物芸能人”との出逢いがあった。【全3回の第3回。第1回から読む】
阿部さんは個性派揃いのフジテレビのなかでもひときわ存在感を放っていたが、特にファッションへのこだわりは強かったと先輩アナウンサーの山中秀樹氏(65)は振り返る。
「ドレッドヘアで出社してきたことがあって、驚きました(笑)。ニュースに出る時はウィッグをかぶってましたけど。ちゃんと仕事さえこなせばどんな服装で来たって問題はありませんから、彼女の個性だと思って見てました」
世間からも、局内からも注目を集める阿部さんのファッション。当の本人は笑いながらこう語る。
「以前、私のニュース番組の衣装について『頭を下げたら、背中が全部開いてた』と話題になったと聞いて『それはさすがにない!』って(笑)。まあ、背中が大きく開いた衣装はバラエティでは着ていましたけれど(笑)」
バラエティは「瞬発力」が大事
阿部さんのファッションに対する“いじり”は、鉄板ネタだった。だが、それまで報道畑が長かった阿部さんにとって、バラエティ番組への出演は悩み多きものだった。
「これまでと全く違う能力が求められ、これは頭の回転が速くないと、瞬発力がないとできないと感じました。いつも生放送や収録の後は、『今日もダメだった』『もっと楽しくできたのではないか』『もう無理』って、一人でうじうじしていました。スタッフに相談しても『阿部知代さんはそのままでいいんですよ』って言われて、それじゃ答えにならない!と」
苦しんでいた阿部さんが気持ちを切り替えるこができたのは『笑っていいとも!』の司会・タモリさん(78)のひとことだった。