阿部慎之助・新監督の下で行なわれた今年の巨人春季キャンプで、ひそかに話題となったことがあるという。スポーツ紙記者が語る。
「原辰徳・前監督がキャンプに姿を現わさなかったんですよ。愛弟子とされる阿部監督へのバトンタッチ直後のキャンプですし、自身は巨人の『オーナー付特別顧問』の役職にも就いている。一度くらいは顔を見せてもいいはずなのですが……」
原氏が第一次政権を退任した翌年の2004年、同じく第二次の退任翌年の2016年は、巨人のキャンプを訪れていた。今年はなぜ足を運ばなかったのか。ある巨人OBはこう言う。
「今回の監督交代は、表向きは原から阿部への円満な禅譲とされています。が、事実上は2年連続Bクラスの責任を問われて、原が職を追われた形ですし、2人の間には師弟と呼べるほどの深い絆があるわけでもない。
そもそも野球観がまるで違う。原が派手な野球を好むのに対して、阿部はスモールベースボールを標榜している。彼が原政権下で二軍監督を務めていた時代、手塩にかけて育て、一軍への足がかりを掴んだ選手を原が使い捨てにして二軍に戻したこともあったしね。
むしろ阿部は原の野球を踏襲するどころか、『守備位置固定』『四球重視』など阪神の岡田(彰布・監督)を意識した戦略を取っている。原もふがいない思いもあるだろうし、“今の巨人にアドバイスできることはない”と思っているんじゃないかな」
そんな原氏は現在、“野球以外のこと”に没頭しているという。別の巨人OBが語る。
「ゴルフ三昧らしいですよ。レッスンプロを付けてラウンドしているとも聞く。『阿部監督が成績不振なら……』と原の4度目の登板を期待する声もありますが、その線は薄い。そうした文脈でも、巨人へのアピール的にキャンプに顔を出す理由もないですしね。“野球はもう趣味”くらいに思っているんじゃないですか」
“偉大な前任者”が不在のキャンプは果たしてペナントレースにどんな影響を及ぼすのか。
※週刊ポスト2024年3月22日号