放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、今春注目を集める落語について綴る。
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お陰さまで『週刊ポスト』2024年3月8・15日号の巻頭で8ページもグラビアを使い「東京漫才師」の大特集をやらせていただき超の付く大好評。プロの芸人達からやたら声を掛けられ「勉強になりました」との反応。今度は機会をみて「東京コント師」の歴史も探ってみたいものです。由利徹の“脱線トリオ”から三波伸介の“てんぷくトリオ”、今の“ネプチューン”まで。あっ、新しい切り口ですネ。「よろしく」と編集部にお願いしたところで今週は「落語」。
近頃やたらテレビから私の一番好きな声のCMが流れてくる。「昭和落語名演」のCDコレクションの古今亭志ん朝である。私の心の中の名人No.1。そのリズム、テンポ、調子のよさ、様子のよさ、きれいな口跡、美しい所作。何よりその明るさが太陽の芸なのだ。
私は作家をやりながら落語部門では立川談志の弟子なのに、実は落語史上トップ、ぶっちぎりの江戸の名人こそ志ん朝と信じきっていて、これは間違いのないところなのだ。
このCDはシリーズで1号と2号が出たばかり。これから順次どんどん出るので、今からでも「名人入門」という方は間にあいます。私も志ん朝のCDはほとんど持っているが、このシリーズの特徴は全国のラジオ局5社にあった未発表の音源がいっぱいということ。
1号に入っている二席が凄い。「明烏」。これは1962年3月、志ん朝の真打襲名の高座。口上の高座には正蔵(のちの彦六)、文楽、馬生(兄)が並ぶ(鈴本演芸場・ニッポン放送『演芸くらぶ』)。「富久」。1958年、夢の名人親子リレー。朝太(志ん朝)20歳、馬生30歳、志ん生68歳である。聞いてた私は10歳。これもニッポン放送の『演芸くらぶ』。ちなみに録音していたのはニッポン放送のディレクターだった志ん生の長女・美濃部美津子である。
このシリーズで60号以上続くと書いてあり、その後には、STVホール名人会(札幌)での圓生、小さん、正蔵、馬生、圓楽、圓歌とまだまだ楽しみはタップリ。
そしてこの師匠方が所属していた「落語協会」が100周年。3月1日から寄席では特別興行。トリは普通10日間つとめるのだが、この度は毎日日替り。100周年という事で「百」の付く噺を。上野鈴本では「百年目」をリレーで口演。この号が出る8日〈昼〉一之輔から一朝、〈夜〉一之輔から権太楼。9日は〈夜〉小満んから雲助という具合(調べてみて下さい)。3月11日からは新宿末広亭で〈昼〉は「百年目」、〈夜〉は「百川」を主任日替り口演。このあと浅草演芸ホール、池袋演芸場と続きます。祝・百周年。
※週刊ポスト2024年3月22日号