京都市京セラ美術館の開館90周年を記念して開催中の『村上隆 もののけ 京都』。国内で約8年ぶりとなる大規模個展は京都を舞台に新たに描き下ろされた新作も含め約170作品を楽しめます。そんな村上ワールド全開の展示作品を、本展企画者で同美術館・事業企画推進室の高橋信也さんの解説付きでたっぷり紹介します!
今回の個展は、9割以上が新作および日本では初お目見えとなる作品とあって、ファンならずとも垂涎の内容だ。
「彼が活動初期から関心を寄せる京都を舞台に、日本や江戸美術の傑作を村上流に再解釈した作品ぞろい。見どころしかありません」と話してくれたのは、本展の企画者でもあり、長年にわたり村上氏と親交がある高橋信也さん。
国内展は今回で最後と噂されるなか、いまこそ見ておきたい村上作品を高橋さんが厳選。楽しみ方やこぼれ話を聞いた。
会場内も本人がデザイン!
「会場内の空間は、壁紙やカーペット、仕切りのカーテンまで、すべてが村上氏のプロデュースによって生まれたもの。本人も語っていたように、“いまの村上隆”が凝縮された、渾身の個展となっています」(高橋さん・以下同)
これぞ後世に残したい超名作!
「作品にも多く登場するキャラクターの“お花”は、空に向かって真っすぐ伸びる姿が印象的です。ちなみに、一つひとつ目や口、花びらの色が違っているんですよ。もともと違う作品を展示予定でしたが、新作として制作していただきました。結果、最高に素晴らしい作品が生まれました」
あの神様たちもゆるキャラ風(!?)にアップデート
「風の神・雷の神どちらも、険しい顔つきでも筋肉隆々でもなく、魔物感は皆無です。ただし、台風や雷のメカニズムをよく知っていて能力はぐんと高い。まさにいまどきの神様像といったところ。風神雷神図は100年ごとに名作が誕生していますが、この村上版も間違いなく歴史に名を刻むはずです」
2700以上もの人物が描かれ、見るたびに発見あり
「京都の街を俯瞰し、にぎわいと死者の存在を対比するように描かれています。岩佐又兵衛作の国宝『洛中洛外図屏風(舟木本)』の約3倍のサイズの超大作で、開幕ギリギリまで制作が続けられていました」
《お花の親子》が京都に出現! 豪華コラボも
2020年、六本木の展示で話題を集めた彫刻作品が館内の日本庭園に出現。ルイ・ヴィトンとのコラボ仕様にも注目!
「DOB」の進化ぶりも見逃せない!
「DOB」は1993年に誕生し、時代とともに変化と進化を続けるキャラクター。本展でもさまざまな姿を見られるほか、グッズにも数多く登場。
【京都市美術館開館90周年記念展《村上隆もののけ京都》】
会期:2024年9月1日まで
会場:京都市京セラ美術館 東山キューブ(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開館時間:10:00〜18:00
※最終入場は17:30まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館)
料金:一般2200円/大学・専門学校生1500円/高校生 1000円/中学生以下無料
※京都市内の大学生以下は無料
【プロフィール】
村上隆/1962年生まれ。アートの総合商社「カイカイキキ(Kaikai Kiki)」主宰。世界的にもっとも有名な日本人現代アーティストで、オタク文化や日本のサブカルチャーをアートとして世界に広めたことでも知られる。
撮影/杉原照夫
※女性セブン2024年3月28日号